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令和 4年 2月定例会本会議-02月24日-03号

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  1. 長野県議会 2022-02-24
    令和 4年 2月定例会本会議-02月24日-03号


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    令和 4年 2月定例会本会議-02月24日-03号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年2月24日(木曜日)  出席議員(56名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内  出席議員(1名)   53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     産業政策監兼産   副知事       関昇一郎     業労働部長     林 宏行   危機管理部長    中村宏平     観光部長      渡辺高秀   企画振興部長    伊藤一紀     農政部長      小林安男   総務部長      玉井 直     林務部長      井出英治   県民文化部長    中坪成海     公営企業管理者   県民文化部こど            企業局長事務取扱  小林 透   も若者局長     野中祥子     財政課長      矢後雅司   健康福祉部長    福田雄一     教育長       原山隆一   環境部長      猿田吉秀     警察本部長     小山 巌                      監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課主事     松橋高志   議事課長      百瀬秀樹     総務課課長補佐   川村亜由美   議事課企画幹兼   丸山俊樹     兼庶務係長   課長補佐               総務課担当係長   青木武文   議事課担当係長   矢島修治     総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和4年2月24日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、高村京子議員。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)まず、知事の政治姿勢に関して3点伺います。  昨年の秋に就任された岸田首相は、憲法改定を目指すことを表明し、憲法改正促進会議を設置しました。自民党の改定案の柱は、憲法9条の改定です。安倍内閣が2015年9月に強行採決した集団的自衛権、自衛隊が海外で戦争できる体制へと進めた安保法制は、現憲法9条戦争放棄2項の戦力は持たないとした条項に対し、軍備を強化しアメリカ軍との共同演習を重ねている自衛隊を書き込み、戦争に参加する軍隊として海外派兵させようとしています。災害現場で人命救助のために活動してくださる自衛隊を戦場に送り、命の危険にさらすことはできません。  岸田首相は、敵基地攻撃能力の保持を目指すとし、自衛隊の攻撃力を最大限強化する姿勢を示しています。他国の基地を破壊し、攻撃すれば、必ず反撃され、全面戦争となる危険な事態を呼び込むことになります。多大な犠牲を出した悲惨な戦争を反省し、戦争を放棄し戦力を持たないと誓った日本国憲法9条を何としても守り通すことこそ、自衛隊員の命を守り、平和国家として進むべき立ち位置だと考えますが、阿部知事の見解を伺います。  日本は、今、格差と貧困が拡大しています。富を持つ者は一層富を蓄え、貧しい人々が増えています。1990年代頃から歴代政権は労働法制の規制緩和をし、非正規雇用者、低賃金労働者を増やしてきました。年収200万円未満のワーキングプア、働く貧困層約1,200万人、労働者全体の4割にもなります。一人当たりの実質賃金は1997年のピーク時から2020年には64万円も減っています。21年のGDP前年比は、米国やユーロ圏が5%台の成長ですけれども、日本は1.5%増で、経済の低迷は際立っています。賃金が上がらず、成長できない国になっています。  加えて、社会保障の国の拠出は年々削減され、保健所の統廃合、医療、介護、福祉部門で自己負担増が進められています。高い国保料、介護保険料、介護サービス縮小、負担増、目減りする年金、生活保護費は削減、多くの国民が安心して暮らせない希望が見えない社会となってしまいました。  今求められているのは、効率優先、自己責任、社会保障削減を推し進めてきた新自由主義経済を根本から見直すことではないでしょうか。  コロナ禍で必死に命を守るために奮闘されている医療・福祉現場を応援し、社会保障を充実し、安心の社会づくり、非正規の若者や女性の処遇を改善するために中小企業を応援しつつ最低賃金を大幅にアップすることで経済を立て直すこと、利益を上げている企業や富裕層に応分の負担を求め、地域で共に支え合う循環型の経済政策へと大きく転換することが求められていると考えますが、知事の見解を伺います。  消費税は、1997年4月に5%、そして8%、さらに2019年10月には10%へと次々増税されてきました。税金は本来収入に応じて徴することが基本ですが、消費税は、生きていくための食料や物品、サービスに対し広く徴収され、収入の少ない人に特に負担が重い不公平税制です。現在、国の税収は、所得税、法人税を抜いてトップが消費税となっています。GDPの5割以上を占める個人消費は、消費税10%以前の300兆円台を下回っており、国民が消費を抑えている消費不況の中で消費税が一番多くを占めていることは異常です。  阿部知事は、消費税は県財政の重要な財源であるとして、消費税を重視する姿勢を取られてきました。コロナ禍が2年以上となる中、失業、休業で収入減、倒産、廃業も深刻となっています。  ここにきて石油製品の高騰、食料品などの値上げが庶民の生活に追い打ちをかけています。世界では、コロナ禍の経済対策として、消費税に当たる付加価値税減税をする国が75か国と地域に達しています。今、県民生活を守るために、消費税の減税こそ切望されています。知事に消費税減税について見解を伺います。さらに、国に対して消費税減税を働きかけていただきたいが、いかがでしょうか。  また、来年の10月から、消費税の仕入れ額控除の方式としてインボイス制度の実施が計画されています。現在は、年間1,000万円以下の売上業者は消費税が免税されており、多くの小規模事業者免税事業者です。インボイス制度では、免税事業者は適格請求書を発行できず、取引からの排除や不当な値下げを強いられ、結局消費税を負担せざるを得なくなり、不利益と税の負担がのしかかり、農業者も含め多くの小規模事業者の商売が成り立たない事態になることが危惧されます。インボイス制度の中止ないし延期を国に求めるべきと思いますが、いかがですか。あわせて知事に伺います。  次に、新型コロナ感染症の対応について伺います。  1月早々からオミクロン株の感染者が急拡大、第6波となり、長野県も、1月27日から2月20日まで、さらに3月6日までまん延防止等重点措置が取られています。連日400人レベルの感染者が出ており、10歳以下の子供たちの感染が多く、自宅療養で対応せざるを得ない家庭が急速に増えています。2月19日には感染者が463人、入院が323人、宿泊施設に435人、自宅療養は4,400人で68%に増え、療養先調整中は1,256人で約20%です。  県は、宿泊療養施設健康観察センターの体制を強化されていますが、次々と発生する自宅療養者とその家族に対する支援についてはさらに強化する必要があると思います。オミクロン株は、感染力が強いが重症化は少なく、軽症者が多いと言われますが、ここにきて高齢者を中心に死亡者も増えています。命を守る緊急対策が今以上に求められていると考えます。  以下、健康福祉部長に伺います。  濃厚接触者の特定や感染者の入院調整など保健所は多忙を極めていますが、濃厚接触者の把握、人数とその扱い、学校や職場への対応はどのようにされておられるのでしょうか。実情をお聞かせください。保健所の体制については代表質問でも触れられたところですが、さらに体制強化を進める必要があると考えますので、伺います。  自宅療養者への食料、生活物資の配付、病状観察など連絡体制、医療との連携を担う健康観察センターの体制の強化を図っておられますが、自宅療養となった感染者と濃厚接触者となる家族も含めた隔離とその保護をその日から対応することが大切です。現状はどうでしょうか。  お子さんがコロナ感染となった御家族から寄せられた様子です。全員検査した結果、家族6人中3人が陽性になり、2週間全員で自宅療養、待機となった。支援物資2キロが届いたのは4日目。それは大変助かったが、届くまでの数日は本当に困ってしまい、仕方なく陰性者が買物に行かざるを得なかった。毎日健康観察センターから連絡が来て体温や酸素量を聞かれるけれども、必要なものは聞かれない。生鮮食品が欲しくて買いに出かけたくなると吐露されました。このような状況をどのように受け止めるでしょうか。さらなる改善を求めますが、いかがでしょうか。  放課後児童クラブは、限られた職員で感染対策を行っています。現在、現状をどう認識されておられますでしょうか。児童の感染が増えており、分散登校や休校もある中、県が受入れを要請するのであれば午前中からの対応も必要です。それも含め、人員を増やすなどの支援を強めていただきたいですが、どうでしょうか。この点はこども若者局長に伺います。  福祉施設内でも感染者が多発しています。もともと人的体制が弱い児童養護施設高齢者施設等で感染者が出た場合に、同じ施設内でのケアはかなりの困難が発生します。現状と対策はどのようになっていますか。健康福祉部長にお伺いします。  感染拡大を迅速に把握するために、いつでも誰でも無料で検査できる体制を求めてきました。1月から薬局等での検査実施へと拡大され、現在は検査箇所が203事業所に拡大されたことは歓迎しますが、今度は検査キットが不足する事態となっています。市販の検査キットも不足、医療機関でのキットも不足。しっかり検査ができなければ感染状況の実態把握はできません。検査キット不足の現状と対策を伺います。  また、発熱外来に対する財政的支援が打ち切られ、医療機関から復活を求める声が上がっていますし、一般診療所でも発熱外来と同じ対応をしています。これらに対する支援も必要と思いますが、健康福祉部長にお伺いします。  3回目のワクチン接種に県としても独自の接種会場を設けるなど、接種の促進に精力的に当たっていただいていることは評価させていただきます。3回目のワクチン接種の進め方について、65歳以上の高齢者の終了見込み、12歳以上から64歳までの終了見込はどうですか。さらに、今、感染者が多く、5歳から11歳以下の子供たちのワクチン接種の対応について、副反応など保護者の不安もあり、成人以上に丁寧な対応が求められると思いますが、子供たちへの接種についての考えや進め方を健康福祉部長に伺います。  オミクロン株の感染は軽症と言われますが、軽症で済んだ若年者が、その後、味覚が回復しない、倦怠感がひどく仕事に就けないなどの事例も出ています。コロナ感染後遺症に対するケアを重視する必要があると考えます。昨年11月県議会で、和田明子県議の質問に対し、福田部長は、従来の保健所の対応に加えて受診相談センターの機能を拡充して対応していくとの御答弁でした。コロナ感染者は第6波で急拡大し、23日発表の累計では2万8,878人にもなりますが、感染者の追跡観察の対応は間に合っているでしょうか。さらなる体制の強化が必要ではないでしょうか。健康福祉部長に伺います。  次に、産業労働部長に伺います。  深刻な営業不振に苦しむ業者に対する支援について、まん延防止等重点措置に基づき1月27日から3月6日まで延長され、計39日間飲食店への営業時間短縮などを要請し、対応したお店に協力金の支給がされています。昨年国の月次支援金などの各種補助金の申請をしたが、書類の不備などを次々指摘され、結局申請が受理されず、支援金をもらえなかった。申請はようやく受理されたが、支給が大幅に遅れて毎月の家賃の負担も重くなり、厳しい経営を余儀なくされている事業所もあります。時間短縮に協力したくても、協力金では採算が取れないのが現実です。協力金をもらわずに開店することを選択したり、終日閉店せざるを得ないお店も多く出ています。このままでは廃業、倒産が増えるのではないでしょうか。  飲食店の時間短縮の協力金だけでなく、危機突破支援金など広範な事業者を対象とした県独自の支援策も実施すべきと考えます。また、国に対しては持続化給付金レベルの再支給を引き続き求めていただきたいですが、いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。  3項目めの地球温暖化防止対策について伺います。  毎年のように超大型となって襲ってくる台風がもたらす大災害、この冬の記録的な大雪も地球温暖化の現象であり、気候危機打開は今地球的課題となっています。CO2削減に向けた本気の取組が求められています。長野県も、2030年までにCO260%削減へ取り組む方針を掲げ、来年度事業にも各分野での取組が予算化されました。現時点から2030年までのこの間の取組が特に大事であります。県として具体的な削減方針を発信し、県民や企業、各種団体に気候危機の危機感を共有していただき、県民運動としてCO2削減に取り組むことをもっとアピールすべきと考えます。年次目標を定め、積み重ねていくことが必要ではないでしょうか。省エネ、再エネ促進の具体的取組について環境部長にお伺いします。  県内にも、CO2削減を企業理念として掲げ、努力していただいている企業がありますが、この努力をしていただくよう一層働きかけていただきたいが、いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。  昨年の11月に行われた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議、COP26では、石炭火力の是非が大争点となりました。46か国の国と地域が石炭火力の新設中止、26か国が石炭火力廃止宣言に賛同しました。ところが、岸田政権は、この流れに背を向け、化石賞受賞という現状です。CO2の大幅削減を県民全体で進めようとしている阿部知事から石炭火力発電の中止か段階的廃止を電力会社や政府に求めていただきたいが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。  最後に、ジェンダー平等社会実現に向けて伺います。  一人一人の多様性を尊重し、その人らしく暮らせる包摂の社会、男女の差別や格差をなくし、性自認の多様性にも配慮するジェンダー平等を求める機運が大きくなっています。ジェンダーギャップ指数で日本は世界156か国中120位という深刻な遅れから目を背けることはできません。  男女の不平等をなくすことの一番は、賃金の男女格差をなくすことです。日本は男女の賃金格差が大きく、世界ワースト2位で、男女の賃金格差は24.5%もあり、女性は結婚、出産、子育て等で非正規雇用とならざるを得ない環境に長く置かれてきました。特に女性に厳しい生活を強いるものになっています。平均賃金では、年間約250万円、生涯では約1億円もの賃金格差があるとも言われています。県として、この賃金体系を正し、男女平等、賃金格差解消に努めるよう県内各企業に働きかけていただきたいが、いかがですか。せめて賃金体系の公表を求めてほしいと思います。  また、男女雇用機会均等法での国レベルでの相談件数は、令和2年度は、女性に対するセクシャルハラスメント、6,337件、25.2%を含む2万5,000件以上に増えております。県内での女性に対するハラスメントの相談件数や特徴を伺います。  このような不利益扱いをなくすための企業啓発にも一層力を入れていただきたいと思いますが、産業労働部長に伺います。  様々な性自認の人々の生きづらさをなくし、自分らしく生活できる支援のために自治体が公的に証明するパートナーシップ制度が急速に拡大しています。法律ではありませんが、夫婦と同等の扱いを実施している自治体は松本市など全国で140以上に、県レベルでは6県がパートナーシップ宣誓要綱を設けて実施しています。東京都も来年度の実施を表明しました。県としてもパートナーシップ制度の導入を検討し、県営住宅への入居や入院、施設入所で夫婦と同等の扱いができるようにすべきではないでしょうか。大切な人と安心して暮らせる長野県となるよう支援策を進めていただきたいと思います。知事に御見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)高村議員の御質問に順次お答え申し上げます。  まず、私の政治姿勢ということで何点か御質問いただきました。  まず、憲法9条についての見解という御質問でございます。  この県議会の場でも何度も答えさせていただいているところでありますけれども、私は、公務員としてずっと仕事をしてくる中で、日本国憲法を順守して仕事に向き合ってきたところであります。また、現行憲法の中での国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義、こうした基本的な理念についてはこれからも維持されるべきものというふうに考えています。  具体的な憲法改正がどうあるべきかということについては、最終的には主権者である国民が判断するものであります。その前段として、やはり国民の間での深い議論、そして幅広い議論が行われるということが重要だというふうに思っておりますし、これを発議するのは国会でありますので、国会の場において未来をしっかりと展望した十分な議論を行っていただき、国民にも分かりやすく憲法論議をしていってもらいたいというふうに考えております。  続きまして、新自由主義からの転換が求められていると考えるがいかがかという御質問であります。  新自由主義、いわゆるミルトン・フリードマン等が主張してきたネオリベラリズム、政府による市場への介入は最低限とすべきというものとして受け止めて御答弁させていただきます。  私は、こうした市場に任せれば全てうまくいくというような発想には立ちません。そうした考え方のひずみ、環境面や格差といった面で資本主義の在り方をどうするべきかということ、これは、政府において新しい資本主義をどう実現するかということであり、世界の中でも資本主義の在り方というものが問われ直されているところだというふうに思っています。  私としては、政府の新しい資本主義実現会議などの今後の方向性に期待をしているわけでありますけれども、代表質問の答弁の中で申し上げたように、日本の高度経済成長は、単に経済政策だけで牽引されたものではなく、社会保障の在り方や国土政策、雇用政策、さらには教育政策、こうしたものとパッケージで進められてきたわけであります。また、こうした社会保障や教育という部分は、まさに宇沢弘文先生、日本人の中で最もノーベル経済学賞に近かったというふうに言われている方でありますけれども、いわゆる社会的共通資本の考え方にも通じるものであります。国においてはこうした経済政策以外の分野とのパッケージでぜひ大胆な改革を進めていただきたいと思いますが、これは日本だけでは達成できませんので、世界の国々とどう連携して進めていくかということで、極めて重要な局面だというふうに思います。地球環境問題も含めて大変重要な課題だというふうに思っております。  続きまして、消費税について御質問を頂戴しました。  消費税減税を国に対して働きかけていただきたいがどうかという御質問でありますが、これについては、働きかける考えはありません。例えば、本県においては、消費税率10%引上げ分については全て社会保障関係費に充てさせていただいております。社会保障関係は安定的な財源が必要だということで、本県では、高齢化による社会保障関係費の増嵩経費や子供・子育て支援の充実などに消費税財源を充てさせていただいているところであります。
     仮に、消費税減税ということを想定した場合には、三つやり方があると思います。こうした社会保障事業をやめるという選択肢、それから、コロナ禍の中、厳しい産業、厳しい環境に置かれている国民の皆さんがいる中で、どこかに代替財源を求めるか、あるいは赤字国債をさらに発行して将来世代に負担を先送りするか、このいずれかの選択肢になると思いますが、いずれの選択肢も今の段階では現実的ではないというふうに思っております。そういう意味で、国に対して消費税減税を働きかけるという考え方は持っておりません。  ただ、今、コロナ禍で県民の皆様方の暮らしや産業の基盤が揺らいでいるわけでありますので、財政面の支出において、生活者や産業を我々としてもできるだけしっかり支援をしていきたいというふうに考えております。  それから、インボイスの導入について中止または延期を求めるべきという御質問でありますが、このインボイス制度については、10%、8%の複数税率がある中で、事業者の皆様方に消費税を適正に申告していただくために必要な制度だというふうに考えております。令和5年の10月が制度開始でありますので、円滑な制度開始に向けた取組が重要だと思っております。令和4年度から、会計ソフトなどの整備に対する補助率の引上げや、パソコンやレジ等を補助対象にするといった支援の強化が図られているところであります。県としても、事業者の皆様方に理解を深めていただくため、これまでも経済団体、税理士会等を通じて制度の周知を図ってきておりますが、引き続き商工会、商工会議所をはじめ関係団体と連携して、こうした補助制度の紹介や経営相談等の支援を積極的に行っていきたいというふうに考えております。  続きまして、地球温暖化防止について、石炭火力発電の中止あるいは段階的廃止を求めていただきたいがどうかという御質問であります。  この温暖化防止はもう待ったなしでありますので、2030年あるいは2050年に向けて、技術の最新動向や温暖化の状況を踏まえて、常に最善の努力を尽くしていくということが重要だというふうに考えております。CO2の排出を最大限抑制していく上では御質問の石炭火力の扱いも大きな課題だというふうに思っております。かつて石炭から石油へとエネルギー転換が行われた際には、労働争議が頻発するなど、非常に雇用問題、あるいは産業面での影響が大きい状況がありました。エネルギー政策は暮らしや産業に大きな影響を与え得るものでありますので、戦略的また包括的に進めていくということが大変重要だというふうに考えております。  COP26におきましては、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電の逓減に向けた努力を加速させることについて各国が合意し、また、国の第6次エネルギー基本計画においては非効率石炭火力のフェードアウトを着実に推進といったような方針が明記されておりますし、電力会社においても非効率な石炭火力の段階的縮減と再生可能エネルギーの新規開発を進めている状況であります。  こうした中、石炭火力を含む電源構成の在り方については、引き続き国のエネルギー政策全体の明確な戦略の下で一層の検討を行うように求めていくことが重要だというふうに考えております。本県としても再生可能エネルギーの普及拡大に努めているわけでありますが、電力会社とも意思疎通を図りながら再生可能エネルギーをさらに普及し、CO2の排出量の少ない電源に着実に転換されるように努力をしていきたいというふうに考えております。  それから、最後にジェンダー平等に関連してパートナーシップ制度の導入検討についての御質問でございます。  提案説明でも申し上げたように、私としては、社会の中でマイノリティーとされているような方々をどんなときにも温かく包摂できる長野県でありたいと強く願っているところであります。このパートナーシップ制度や様々な性自認をされている皆様方への対処の方法については、現在、人権政策審議会において人権政策推進基本方針の来年度の改定に向けての検討を行っているところでございます。その中でも、このパートナーシップ制度も含めて、県民の皆様方の理解の促進や具体的な支援の在り方、どうあるべきかということについて意見が交わされているところでありますので、私としては、この審議会の御議論を踏まえて政策の方向性を検討していきたいというふうに考えております。  なお、本県におきましては、松本市が先行してパートナーシップ宣誓制度を行っていただいているところでありますけれども、これに対する県の対応といたしましては、宣誓されたカップルが県営住宅に入居する場合、あるいは県立病院で面会や手術される場合の同意、さらにはみとり、こうした場合に親族と同様の取扱いができるように対応させていただいているところであります。引き続き、人権問題、マイノリティーとされる方々への支援を県としてもしっかり考えていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症対策につきまして順次御答弁申し上げます。  まず、濃厚接触者についての御質問でございます。  濃厚接触者につきましては、保健所において陽性者から聞き取り調査を行い、その把握に努めているところでございます。人数につきましては、現在保健所業務が厳しい状況であり、集計事務が煩雑になることから正確な積み上げは行っておりませんが、これまでの実績等から、現時点でおおむね1万人程度と推定しております。  濃厚接触者の扱いでございます。  検査や健康観察等につきましては、重症化リスクの高い方や高齢者施設等に対して優先的に実施しているところでございます。また、学校や企業等において陽性者が確認された場合には、当該学校等に濃厚接触候補者リストを作成いただくなど、迅速に濃厚接触者が特定できるよう御協力をお願いしているところでございます。今後とも可能な限り濃厚接触者の早期把握に努めるとともに、陽性が確認された方が迅速に適切な療養へとつなげられるように努めてまいります。  また、保健所体制の現状とさらなる体制強化についてでございます。  新型コロナが初めて確認されて以降、これまで、保健師31人、臨床検査技師8人を増員するほか、地方部職員の兼務、外部委託の活用などにより保健所体制の強化に努めてまいりました。とりわけ感染が急拡大した第6波におきましては、緊急的に地方部からの兼務職員を176人から626人に大幅に増員したところでございまして、今後も必要に応じてさらなる増員を検討してまいります。また、来年度からさらに正規の保健師を6人増員するなど、引き続き必要な人員の確保等に取り組み、保健所体制の強化を図ってまいります。  次に、健康観察センターによる自宅療養者への支援の現状についての御質問でございます。  自宅療養者の生活支援物資は長野県健康観察センターから独居者などに食料品や生活必需品等を無償で提供しております。事前にセンターや保健所からパルスオキシメーターなどを配付した上で、センターの看護師が遠隔健康管理システムや電話を通じて健康観察を行っております。症状増悪時にはセンターから迅速に保健所に連絡をし、症状に応じて指定医療機関での受診や入院の調整、診療所による電話診療等を実施しているところでございます。  続いて、生活支援物資の提供及び困り事の相談についてでございますが、生活支援物資の提供に当たりましては、保健所が自宅療養者に連絡を行う際、独り暮らしか家族全員が外出できない状況かどうかを確認した上で物資支援の必要性を判断しているところでございます。  生活支援物資のお届けまでに時間を要した時期が一時的にございましたが、受託事業者による人員の確保と県職員の緊急的な投入によりまして、事務スタッフを平時の10倍近い規模に増員しております。さらに、日勤夜勤の二交代制を導入いたしました結果、既に申込みの翌日から翌々日までにはお届けできる状況になっております。  また、困り事については、市町村の御協力をいただいて、保健所から市町村等の窓口につなぎ、相談に乗っていただき、必要な場合はさらに適切な部署で対応していただいているところでございます。  次に、福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。  昨年の暮れから、2月20日時点で、児童養護施設や高齢者施設、障害者施設など福祉施設において集団的感染事例が89件確認されております。各施設では、施設運営に携わる職員の確保や感染対策の強化、検査などに取り組んでおられると認識しております。  県では、こういった施設の集団的感染事例につきましては、クラスター対策チームの派遣、看護協会との協定に基づく感染管理認定看護師等の派遣による訪問指導、さらに今は抗原定性検査キットを保健所から融通するなど、感染拡大を抑え込むための個別支援を行っております。あわせて、サービス継続に必要な臨時的な人員の確保や、帰宅困難職員の宿泊費、自主検査費用等に対する補助金などの支援策を講じてきたところでございます。  また、施設における感染防止対策や感染事例発生時の対応等について改めて周知いたしますとともに、まん延防止等重点措置期間における従業員等へのPCR検査、入居者、従業員へのワクチンの巡回接種など、施設における感染防止が図られるよう取組を強化して対応しているところでございます。  次に、検査キット不足の現状と対策についての御質問でございます。  検査キットの不足につきましては、需要の急激な高まりを受けまして国がメーカーに増産を要請しておりますが、県といたしましても、知事会を通じて検査キットの増産に係る事業者支援を国に要望するとともに、行政検査を行う医療機関や自治体等への優先供給を県内卸売業者に依頼したところでございます。  医療機関につきましては、こうした優先供給の取組や検査キットの確保が困難な場合に、緊急的な購入希望を国が直接受け付け、卸売業者を通じて供給する仕組みの運用が始まったこともございまして、必要量が供給されていると考えております。  また、無料検査につきましても、県内の230軒を超える薬局等で継続して実施されておりまして、一定の役割を果たしているところでございます。  これらのほか、個人が購入するものについてはまだ供給は十分に回復しておりませんが、徐々に増産等の効果が現れるものと考えておりまして、県としても引き続き需給状況の把握に努めてまいります。  それから、発熱外来に対する財政的支援についての御質問でございます。  診療・検査医療機関への財政的な支援につきましては、令和2年度、季節性インフルエンザの流行に備えた診療・検査体制を整備するため、国及び県でそれぞれ補助事業が実施されました。その結果、2月3日現在で623の医療機関にその役割を担っていただいております。現在これらの補助事業は実施されておりませんが、令和4年度の診療報酬改定によりまして、一般診療を含め、日頃から感染防止対策等を実施する診療所等に対しまして新たな加算が設けられたところでございます。  現在も多くの医療機関に診療や検査をしていただいており、収束までなおしばらくこうした体制の維持が必要と考えられますので、今後も感染防止対策経費等について手厚い支援が行われるよう国に要望してまいります。  次に、ワクチン追加接種の終了見込みについての御質問でございます。  65歳以上の高齢者への接種につきましては、可能な限り2月末までに希望する高齢者の接種を終えられるよう市町村とともに接種ペースを加速化しているところでございます。とりわけ高齢者施設の入所者等への接種につきましては、県保有ワクチンの市町村への融通に加え巡回接種を行うとともに、個別の施設に直接課題をお聞きしながら極力2月中に完了できますようきめ細やかに対応しているところでございます。  また、12歳から64歳までの年代の接種につきましては、現在、警察職員、学校教職員や保育士などのエッセンシャルワーカーの接種を進めております。終了につきましては、12歳以上の対象者の2回目接種がおおむね完了した昨年11月から6か月経過後となります本年5月から6月頃が一つの終了の目安になるものと考えております。  次に、子供たちへのワクチン接種についてでございます。  小池議員への御質問にもお答え申し上げましたとおり、重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さん等には速やかに接種機会を提供すること、それ以外のお子さんについても希望者ができるだけ早期に接種を受けられる体制を整備すること、この方向性について市町村と共有しておりまして、3月上旬以降接種が順次開始される予定でございます。  接種の判断材料となります効果や副反応などにつきましては、御指摘のとおり適切な情報提供が必要と考えておりまして、県としても周知を行ってまいりますほか、国に対しては、全国知事会を通じ、分かりやすく丁寧な情報発信を行うよう求めているところでございます。このほか、予診の際の保護者や小児への丁寧な説明、さらに、接種後の副反応等への対応につきましても、市町村や医師会、地域の医療機関と連携して体制確保に努めてまいります。  最後に、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症についての御質問でございます。  これまでの国等の研究によりますと、代表的な症状として、倦怠感、息切れ、味覚・嗅覚障害等が報告されております。ただし、現在感染が広がっておりますオミクロン株の後遺症につきましては、国内で感染が広がってから日が浅いこともございまして、現時点では十分な情報がございません。  本県では、後遺症への対応といたしまして、療養を解除された方に受診・相談センターを御案内し、必要に応じ症状に合った診療科を紹介するなど、適切な医療機関を受診できるよう相談体制を確保しております。さらに、地域の医療機関での治療が困難な事例につきましては専門的医療機関を紹介する体制を整えておりまして、こうした相談窓口や医療機関からの情報を収集しているところでございます。  オミクロン株の後遺症がどの程度の割合で出現し、どのような症状を生じるかにつきましては、これから状況を注視していく必要があると考えておりまして、今後も、国等の研究結果も含めて後遺症の実態把握に努めるとともに、適切な治療を受けられる体制を維持、構築してまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には放課後児童クラブにおける感染対策の現状認識と支援策について御質問いただきました。  放課後児童クラブは、保護者が働いており、家に一人でいることができない小学生に、放課後等の生活と遊びの場を提供する役割を果たしています。このため、コロナ禍においても、保育所と同様、感染対策を徹底しながら原則開所することをお願いしておるところでございます。  御指摘のように、放課後児童クラブに配置されている限られた支援員が感染対策を行いながら児童を受け入れることは非常に負担が大きいものと認識しております。そこで、感染対策の徹底を図りながら児童への支援を継続していくために必要な経費として、新たに非常勤職員を雇用した場合の賃金などを助成しておるところでございます。  また、小学校の臨時休業等に伴い午前中から開所する場合や、児童の密集状態を避けるため複数のグループに分けて必要な支援員を配置した場合など、追加で生じる運営費についても財政支援を行っているところでございます。こうした支援策を放課後児童クラブの実施主体である市町村に有効に活用していただくことによって、感染対策の徹底と児童の居場所の確保の両立を図ってまいります。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)4点、順次お答えいたします。  まず、事業者へのさらなる支援策についてのお尋ねでございます。  これまで、国の支援金等の制度は、令和2年の持続化給付金、昨年1月から3月までの一時支援金、4月から10月の月次支援金、そして、昨年11月からは事業復活支援金による支援が始まっています。他方、県では、これまで、危機突破支援金に加え、影響を受けながらも国の月次支援金等の対象とならなかった事業者に特別応援金第1弾、第2弾を実施いたしましたが、このたびは、市町村と連携して、第6波対応事業者支援交付金により、影響を受ける業種に対して給付金等を支給するとともに、今後需要喚起の取組等にも支援してまいります。  なお、さらなる事業者支援につきましては、雇用調整助成金が延長されると聞いておりますが、事業復活支援金の延長など支援策の拡充について全国知事会を通じ国へ要望してまいります。  次に、県内企業に対するCO2削減の働きかけについてでございます。  世界に広がるESG経営の転換やサプライチェーン全体で脱炭素を見直す動きが加速する中、産業部門のグリーンイノベーションの推進は急務となっております。このため、県では、昨年策定された長野県ゼロカーボン戦略に基づきゼロカーボン基金を活用した技術開発支援を開始しており、来年度は、新たにグリーンイノベーションセンター(仮称)を長野県産業振興機構、NICEに設置し、原材料の生産から製品の廃棄までのライフサイクルを通して温室効果ガス排出の可視化を支援するLCAコンサルティングに取り組む予定です。  他方、経済団体、金融機関、大学等と連携して取り組んでおります長野県SDGs推進企業登録制度は本年1月末で1,329社まで拡大しており、クリーンエネルギーや気候変動対策などESGに配慮した経営が広がってきております。今後とも、こうした取組をさらに広げられるよう周知に努めるとともに、県内産業のグリーントランスフォーメーションを後押ししてまいります。  次に、ジェンダー平等社会について2点御質問いただきました。  まず、男女の賃金格差についてでございます。  男女間の賃金格差は、女性の非正規就労者の割合が高いことや、出産や育児等による就業の中断がキャリア形成に影響したり、いわゆる管理職等の女性比率の低さ等によるものと受け止めております。  県では、職場環境改善アドバイザーの事業所訪問や社会保険労務士等の専門家の派遣を通じて賃金格差解消を含む従業員の処遇改善の取組を支援するとともに、労務管理改善リーダー研修会等を開催し、働き方改革に関する制度の周知を図っているところです。  御指摘の賃金体系の公表については、女性活躍推進法においても義務づけとはなっておりませんが、本年4月から同法に基づく管理職への登用状況や女性活躍に関する情報の公表義務が、これまでの従業員数301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。こうした制度の普及を図りながら、男女間の賃金格差の是正など働き方改革の取組が進むよう、引き続き労働局をはじめ関係機関と連携しながら取り組んでまいります。  最後に、女性に対するハラスメントについてでございます。  長野労働局によりますと、令和2年度の男女雇用機会均等法に係る相談件数は271件であり、このうちセクシャルハラスメントに関する相談は90件でした。また、県の労政事務所に寄せられた同法に係る相談件数は38件で、うちセクハラに関する相談は17件となっております。労働局に寄せられた相談内容では、セクハラに関する案件は前年度より若干減少した一方、コロナ禍でストレスを受けやすい、特に妊娠中の女性労働者に対する事業主の措置に関する相談が増加しております。  こうした中、労働施策総合推進法改正により、令和2年6月から全ての企業において相談者に対する不利益な取扱いが禁止されるなど、セクハラ防止対策が強化されるとともに、大企業においてはパワハラ対策が義務化され、本年4月からは中小事業主にも適用されることとなっております。現在、事業所に対する直接的な指導、啓発については長野労働局において是正指導を行っておりますが、県としましても、地区労働フォーラムや人権啓発講座等を通じ、ハラスメント防止に関する意識啓発に努めてまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)温室効果ガス削減に向けた年次目標と具体的な取組についてお答えいたします。  ゼロカーボン戦略におきましては、2030年度の目標を2010年度比で最終エネルギー消費量4割削減、再生可能エネルギー生産量2倍増、これにより温室効果ガス正味排出量の6割削減としており、各年次の目標は、2030年度目標値と最新の実績値とを直線で結んで求める形となってまいります。  ゼロカーボンに向けての取組は様々な分野にわたりますが、例えば、産業分野における省エネにつきましては年2%のエネルギー消費量の削減を目安としており、具体的な取組として、事業活動温暖化対策計画書制度により、エネルギーの使用状況の見える化と排出削減計画の策定、実行へとつなげてまいります。  また、再エネ分野におきましては、2030年度時点で約3割の住宅屋根に太陽光発電設備の設置を目指しており、ソーラーポテンシャルマップの活用や共同購入事業、販売・施工事業者と連携した取組などを実施してまいります。  脱炭素の実現には、こうした多岐にわたる施策を総動員するとともに、県民、事業者などあらゆる主体の理解と参画が不可欠と考えております。可能な取組につきましては年次的な計画をお示ししつつ、目標指標の達成状況や施策、事業の実施状況などについて毎年度検証し、取組の改善策も併せ、共有を図ってまいります。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)それぞれ御答弁をいただきありがとうございました。平和憲法の下、地球環境をしっかり守りながら、誰もがその人らしく生きられる温かい長野県へ、確かな暮らしが営まれる美しい長野県に向けて、命を守る取組に重点を置きながらのさらなる御努力をお願いいたしまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、山岸喜昭議員。       〔35番山岸喜昭君登壇〕 ◆35番(山岸喜昭 君)おはようございます。順次質問に入ります。  最初に、林業の抱える課題についてであります。  長野県における個人の森林所有地は、急傾斜で小規模、分散的であり、特に里山で多く見られます。木材価格の低迷も相まっていますが、林業事業体では、施業団地の設定や長期施業受託に向けた森林経営計画の作成や森林経営管理制度などに取り組んでいます。  しかし、ここでネックとなっているのが、森林所有者の特定と境界の明確化という作業であります。相続人の未登記は、林業事業体の努力では限界にきています。こうした状況の改善に向け、森林所有者の特定と境界の明確化について関係市町村との連携協力による支援が必要と考えるが、いかがか。  我が国では、少子高齢化が進む中、慢性的な人手不足に陥っており、特に、直接生産に携わる現場労務において顕著であります。林業においても、経営規模が零細で、作業の危険度が高く、給与水準も低いことから、希望者がいない、定着率が低いという深刻な人手不足の状況となっています。  また、高性能林業機械の導入は、作業の効率化、コストの低減に必要であるが、1台の価格が数千万円と高価格であり、災害復旧事業の増加により納期も長くなっていることから新規導入や更新が進まない状況にあり、老朽化に伴う維持・修繕コストが増大しています。こうしたことから、早急な事業拡大は困難な状況にあり、今般のウッドショックによる木材不足から、国産材生産の増加が求められているが、現状維持が精いっぱいという状況であります。  森林資源の成熟に伴い、主伐の増加が見込まれていますが、このままでは跡地の再造林の実効確保ができず、再造林を優先すれば素材生産量が伸びないという状況に陥りかねないと思います。林業人材の確保についての取組はどのように考えるか。また、IT技術を活用し、省力化を行うスマート化が提唱されているが、今後林業のスマート化をどのように推進していくのか。  国産材自給率は年々増加し、令和2年度は41.8%となったが、量的に見ると木質バイオマス需要の増加によるところが大きく、用材需要量はほぼ横ばいという状況が続いています。森林資源の成熟に伴い素材生産量の増加が期待され、脱炭素の見地からも、木材需要の喚起、公共建築物や民間の非住宅建築物の木造・木質化を推進するとともに、都市部における大型木造建築を見据えた木材供給体制の整備を図る必要があると思うが、いかがか。  ウッドショックに伴う国産材価格の上昇は、国産材復帰のチャンスと言われているが、外国木材製品不足に対する場当たり的な穴埋めという面が強く、従前のオイルショックやリーマンショック等の経験から、状況が収まれば元に戻ってしまうのではないかという懸念が強く、設備投資に慎重な事業者が多いと感じられます。  我が国の経済構造は、グローバル化の進展とローコスト追及の結果、安価な外材製品に大きく依存し、国産比率が低い産業構造となっており、林業・木材産業においてもこの傾向が顕著で、国際的な丸太・製品価格が基準とされ、流通側で価格設定がなされてしまい、生産価格がここから逆算されてしまいます。加えて、ローコスト住宅の台頭により利益が上がりにくい構造になっていることが、事業体の慎重姿勢にも影響を与えているのではないかと思います。  ウッドショックを真の国産材復権の契機とするため、事業者が適正な収益を確保するもうかる林業を実現するための施策が必要と考えるが、以上林務部長にお聞きします。  次に、一般社団法人長野県観光機構が取り組んでいる経営改革について、県としての認識や期待を伺います。  長野県観光機構の前身である信州・長野県観光協会が一般社団法人化されたのが平成25年4月であります。来年でちょうど10年目を迎えます。この間、平成28年には長野県観光機構と名称変更し、その後、いわゆる日本版DMOとして観光庁に登録され、今日に至っております。  観光機構は、これまで、銀座NAGANOの運営や、観光キャンペーン、インバウンドの誘致、スキー場や温泉地の活性化などに取り組み、最近の新型コロナの状況下では、厳しい環境にある観光地の支援にも取り組んでいます。  観光機構という組織の特徴として私が承知しているのは、行政のような人事異動がないため、観光関係者との顔の見える信頼関係を築きやすいこと、旅行会社や交通事業者からの出向者など多様な人材がいるため、人脈も幅広く、専門的な知識があることなどが思い浮かびます。しかしながら、県からの事業量が多く、自主的な収益事業が進まないため、財政状況は厳しいのではないかとも認識しています。  一方、県は、知事を本部長として、全ての関係部長をメンバーとする観光戦略推進本部を設置し、観光政策の基本的方向性を決める重要な役割を担っています。これまで、県と観光機構は、お互いに果たすべき役割を果たしつつ観光振興に取り組んできており、両者の関係はよく車の両輪に例えられています。県と観光機構は、それぞれに企画と実行という両面を持っており、県は政策立案、観光機構は実行組織であります。  まず、観光機構が取り組んでいる経営改革についてはどのように承知されているか。また一方、観光機構と連携していく上で、県としては観光施策の構築に当たってどのように取り組んでいるのか。観光部長にお伺いします。  知事は、観光政策の基本的方向性を決める観光戦略推進本部の本部長という立場にあり、観光機構の顧問でもあります。また、コロナ後の信州観光の復興を考えると、県と観光機構が連携を強化し、存分にリーダーシップを発揮することが求められております。観光機構の経営改革の取組を踏まえ、県と観光機構の機能分担や連携関係についての考えやこれからの期待を知事にお伺いします。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)5点お尋ねをいただきました。  まず、森林所有者の特定と境界の明確化についてでございます。
     本県では、林業事業体等が森林施業の集約化を進めるために行なう森林の現地調査、森林所有者を特定するための登記簿等の情報収集、説明会や境界確認等の活動について、市町村と連携し、森林整備地域活動支援交付金事業により支援しているところです。また、市町村が主体となって行う森林経営管理制度への支援として、航空写真等を用いた境界明確化マニュアルを令和2年に作成し、市町村向けの研修会を実施しています。県としては、森林所有者の特定と境界の明確化が進むよう引き続き市町村及び林業事業体等を支援してまいります。  次に、人材の確保についてでございます。  議員御指摘のとおり、林業の人材確保は重要な課題と認識しており、また、近年は、主伐が増加すると再造林とその後の保育作業も増加することから、そこの人手不足を懸念し、素材生産活動に制約が生じてしまうという課題が表面化しています。このため、令和4年度の新規事業として、短期的な雇用を想定して、比較的従事しやすい保育作業等の従事者を雇用する事業者への支援を予定しています。これにより、他分野との兼務や多様な働き方を推進し、林業への参入のハードルを下げて人材の確保を図るとともに、伐採技術を持った従事者が素材生産業務に注力できる環境を整え、素材生産量の増加に向けて取り組んでまいりたいと考えています。  林業従事者の育成と確保については、現在、林業労働力確保促進基本計画の改定に向けた検討作業を進めており、ただいま述べたような施策も含めて、今後、より効果的に対応できるよう議論を深めてまいります。  次に、スマート林業の推進についてでございます。  急峻で広大な森林を対象とする林業においては、調査測量や木材生産等の省力化を進めることが急務であると認識しております。長野県では、全国に先駆け、平成30年より産学官55者で構成する協議会、スマート林業タスクフォースNAGANOにおいて、スマート林業技術の開発、効果検証を行い、ドローン撮影画像の解析による森林資源把握技術や木材の需給マッチングシステムなどが林業の現場に導入されつつあります。  一方、新技術の導入に係るコストやそれに対応できる現場の技術者の不足などによりスマート林業技術の導入に慎重になっている林業事業体もございます。このため、県といたしましては、林業事業体がスマート林業技術を活用する上で必要な高精度衛星測位システムによる測量機器、ドローン、木材検収システム等の実装を支援しております。また、これら先端機器を現場で活用できる人材を育成するため、動画等も活用した研修会を継続的に開催することにより林業のスマート化を推進してまいります。  次に、木材供給体制の整備についてでございます。  県では、県産材の需要拡大のため、県内の公共建築物や民間の非住宅建築物への木造・木質化に対して木づかい空間整備事業などにより支援しているところであり、今後も、シンボル性が高く、高い展示効果が見込まれる施設等での県産材PRに力を入れるなど、木材需要の喚起に努めてまいります。  現在、都市部においては、商業施設や学校、マンションなど大型木造建築への県産材利用の事例が増えております。県としては、こうした需要に対して品質の確かな製品を供給するために、県内木材加工施設のJAS認証取得を支援しております。これらのJAS工場を中核に、木材流通事業者、木材加工事業者の連携を進め、原木や製品の安定的な供給体制の構築に取り組んでまいります。  最後に、もうかる林業の実現についてでございます。  もうかる林業の実現に向けては、間伐主体の林業から主伐、再造林へシフトし、素材生産量を増加させるとともに、低コスト化を進めることが重要と認識しております。このため、県といたしましては、地形や森林の生育状況、林道の路網配置等から林業経営に適した森林を選定するゾーニングを進め、計画的に間伐から主伐への誘導を進めてまいります。  また、ICTを活用したスマート林業や高性能林業機械の導入支援等により素材生産の低コスト化を図るとともに、再造林における植栽本数の見直しや伐採と造林の一貫作業システム等により造林作業の低コスト化にも取り組んでまいります。  さらに、近年の発電や熱利用における木材の需要の高まりを受け、林地残材まで活用して収入に変えることも重要であり、令和4年度の新規事業として、林地残材の搬出に係るコストや事業量の検証に新たに取り組む予定としております。  現在、新たな森林づくり指針の策定に向けた議論を始めたところであり、議員御指摘の内容につきましてもしっかりと位置づけてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には2点のお尋ねをいただいております。  まず、長野県観光機構の経営改革についてでございます。  現在、観光機構におきまして、外部人材をリーダーとした経営改革チームを設置しているところでございます。  検討されている経営改革の内容としては、既存事業の棚卸しと新たな収益事業による財務基盤の強化、中核人材となる熱意と意欲のある職員の段階的な採用、職員の意欲向上と能力開発に資する人事評価制度導入など、コロナ禍における時代の変化なども踏まえ、会員はじめ長野県の観光業界にこれまで以上に価値を提供できるよう、自立した専門性の高い組織を目指し、県とも情報共有しながら取り組んでいるところでございます。  次に、県の観光施策の構築に当たってどのように取り組んでいるのかというお尋ねでございます。  これまで、長野県観光戦略2018、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針などを観光機構及び県組織全体で共有しながら観光施策を構築してきたところでございます。  県において、具体的には、自転車専用通行帯の整備など建設分野と連携しながらサイクルツーリズムを推進、二次交通の確保、利便性向上など交通分野と連携しながら広域的な観光周遊の促進やインバウンドを誘致、電気自動車の充電インフラの整備など環境分野と連携しながら観光地等の脱炭素化を推進などが上げられるところでございます。  観光振興は、観光部だけで進められるものではないことから、今後も、観光戦略推進本部などでの議論を通じ、各部局や観光機構と連携して施策を構築してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、観光機構と県との機能分担や連携関係の在り方、そして期待について御質問いただきました。  観光を進めていく上では、これはもはや県内だけの目線では十分ではなく、国内各観光地、あるいは世界の観光地との競争が重要な分野だというふうに思っています。また、観光を進めていく上では、行政的なアプローチだけでは十分ではなく、民間的な視点、あるいは経済原理を踏まえたアプローチということが大変重要だというふうに思っております。そういう観点で、行政はどうしても公平性、中立性ということを重視していかなければいけないわけでありますけれども、観光機構においては、そうした行政ではなかなか取り組みづらい、実施が難しい、そうした施策をしっかり行っていただきたいというふうに思います。また、マーケティング等を通じて顧客ニーズ、観光客のニーズをしっかり踏まえた機動的な対応を行っていってもらいたいというふうに思います。  また、私の思いとしては、独立した機関でありますので、県の観光行政に対して観光機構側から主体的な提案をどんどん出してもらうことを期待しているところであります。  観光機構には、アフターコロナを見据えた観光トレンドの変化を先取りした取組にしっかりチャレンジしていってもらいたいというふうに思いますし、また、民間的な発想の下での有償サービス、利益を獲得するようなサービスの仕組みも考えてもらいたいというふうに思います。加えて、各地域の観光事業者、それから地域のDMO、こうした皆さんも観光機構として応援、支援をしてもらいたいというふうに考えています。  今後とも、観光機構とは緊密に連携しながら、世界から多くの皆様方を引きつけ、そして観光消費額をもっともっと増やしていくことができるような観光地域づくり進めていきたいというふうに思います。共に稼げる観光地となるように努力をしていきたいというふうに考えています。  以上です。       〔35番山岸喜昭君登壇〕 ◆35番(山岸喜昭 君)観光は、経済対策の中でも裾野が広く、加えて、即効性があります。地域や業界の期待も非常に高いものがあります。県と観光機構が、明快な機能分担の連携により、迅速で効果的な観光振興策を推進していただきたいと思います。また、観光機構は、しっかりとした財務基盤を築き、その上に立って、地域の課題に寄り添い、共に汗を流す姿勢で、観光に活路を求める地域への支援を願いたいところでございます。  次に、道徳教育についてお伺いします。  社会の荒廃、教育の荒廃が毎日のように報道されている現代であります。大人の道徳の低下が著しいと言わざるを得ません。大人によるいじめや虐待、家庭の崩壊、気力の欠けた若者、社会倫理を逸脱した行動、いわれなく人をあやめる事件、さらには、所得格差が学歴格差を生む構造、そのほかもろもろのことが頻繁に伝えられており、子供を取り巻く環境に大きな影響を与えていることに目を向けてこの現状を改める必要があります。  背景の多くに共通するのは、孤立、孤独から来る境遇への不満からもたらされていると思われることです。人生がうまくいかないのは他人のせい、社会のせいなど他責的な傾向を強め、最近の無差別襲撃事件に至り、また、コロナ禍で入学した生徒は、マスク生活で、先生、同級生やお互いの素顔も知らない。人とのつながりを維持する取組が必要とされているが、新型コロナ感染症拡大の長期化に伴い、若い世代の孤立が深刻となっています。  大人が変われば子供も変わる。その責任は重い。先達が残してくれた助け合いの神に富み、謙虚で礼儀を重んじる日本人の美徳が現在失われかけています。それを守り続けしっかりと次世代に受け継いでいくことが私たちの使命でもあります。  小学校、中学校において道徳の教科化が全面実施され、道徳は義務教育の全期間を通して特別教科として位置づけられています。道徳が教科化されたことは、生徒たちに自分のアイデンティティーや他人との関わり、社会の在り方に関わる道徳的価値を教えるという枠組みであります。  今、大人を含めて、道徳的意識が低下していると指摘されています。特に、挨拶ができない、礼儀がない、善悪の判断ができない等若者の道徳意識の低下が顕著であるという。大人も子供もスマホなど情報機器のとりこになり、他人の存在に関係なく、自分の世界に入り込んでいる。こうなると、他人や仲間との会話は減り、コミュニケーション能力に欠如を来す。子供たちも、年齢の異なる仲間との触れ合いが少なくなり、集団での自分の位置が分からない、自信が持てない、集団行動ができないなど悩みを抱えるようになっています。  学校での道徳教育の改善と充実が叫ばれる道徳教育の在り方についてお聞きします。  道徳教育の必要性が強く主張され、子供たちが命の尊さを知り、自己肯定感を高め、人間性や社会性を育むためにも、道徳教育を充実させることが重要と思います。  そこで、教科化された特別の教科道徳の本県における成果と課題についてどう捉えているのか。特別教科と位置づけた上で児童生徒の道徳に対する評価をするとしています。その評価は難しい面もあると思いますが、道徳の評価はどのようにしていくのか、また、どのような課題があるのか。  昨今の報道では、教職員によるわいせつ行為が大きく取り上げられています。セクハラ、パワハラ、暴力行為、飲酒運転をはじめ、教職員による不祥事が後を絶たず、こうした報道を見るたびに気持ちが沈みます。道徳教育を行う教職員自身が道徳観や職業倫理が低いということは残念でなりません。教職員による不祥事を根絶するために、教職員の道徳観や職業倫理を向上されることが必要と思うが、どのようにされているのか、教育長にお聞きします。  さて、電車内の優先席で寝そべって加熱たばこを吸っている男を注意した男子高校生が、逆ギレされ、車内や駅のホームで暴行されるという痛ましい事件が起きました。高校生は、土下座されられた状態で殴る、蹴るの暴行を受け、頬を骨折する重傷を負った。高校生の勇敢な行動が称賛される一方、周囲の乗客、大人は見て見ぬふり、止めようとしなかった。このように、不法行為や迷惑行為に遭遇した際にはどういう行動を取ればいいのか。周囲の乗客が見て見ぬふりをするのは許されるのか、学校は、高校生の行動についてどのような言葉をかけ、どのように評価しているのか。高校生は、体の傷より心の傷が深く残っているという。  道徳教育は、課題を見つけ、その課題について考え、自分の人生に生かすという流れを基本としています。この事件は、道徳教育のよい実例だと思う。実際のいじめや事件などの問題に対応できる道徳性を育むには、あなたならどう考えるかを真正面から問い、自分自身のこととして多面的、多角的に考え、議論する道徳が必要だと思うが、いかがか。教育長にお尋ねします。  コロナ禍で社会経済が衰退の危機にある中で、県民の安全、安心な生活、平穏を守らなければなりません。そのために必要なことは、公務を担う皆さんの使命感や責任感、そして、相互信頼のため、道徳心や倫理観を高めることと思います。今、社会は無差別襲撃事件などのリスクと隣り合わせにあり、治安が脅かされていることを認識せざるを得ません。  犯罪情勢統計では、コロナ禍でテレワークなど社会のデジタル化が進み、サイバー犯罪は過去最多。また、虐待の疑いで通告は10万8,000人を超え、DV相談も8万件超えと過去最多を更新しています。これでは大人の道徳心の低下が著しいと言わざるを得ません。道徳教育が必要なのは大人であります。  相次ぐ特殊詐欺、高齢者犯罪、児童虐待、DV、あおり運転、青少年の孤独、孤立による犯罪が多発し、体感治安が悪化しています。私は、こうした体感治安の悪化を防ぎ、目指す日本一安全、安心な信州にするためには、犯罪が起きにくい社会づくりが重要と考えます。犯罪が起きにくい社会を実現するため、長野県警としてどのように取り組まれるか、小山県警本部長にお聞きします。  国や郷土を愛する態度や、伝統や文化に対する愛着や誇りが希薄化しています。我が国の文化や伝統を大切にし、先人の努力を知り、国や郷土を愛する心を持つこと、国や郷土への思い、私は、道徳心や郷土愛は大変重要であると思います。誰にも生まれ育ったふるさとがあり、郷土を愛する心は国を愛する心につながります。今、本県において、人口減少は最重要課題であります。未来の信州づくりの基盤となる若者の地元定着は郷土を思う心であり、郷土への愛着の心情が郷土愛であります。郷土の未来を切り開いていく郷土愛に満ちた人材育成を政策に盛り込んではいかがか。道徳心や郷土愛、国を愛する心を養うことが大切であると考えるが、いかがか。  緊張の高まるウクライナでは、高校生が軍事訓練をしているという。国や郷土を愛する心をしっかりと養うことは、今の世界情勢を見る中で大変重要であり、必要であると強く感じているのは私だけでしょうか。知事のお考えをお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)道徳教育についてのお尋ねでございます。  まず、教科化された特別の教科道徳の本県における成果と課題についてというお尋ねでございます。  県教育委員会では、これまで、小中高で道徳教育推進校を指定して実践を深めまして、その成果を基に、教員の指導力向上を図る研修会などを実施し、道徳教育の充実に努めているところでございます。また、家庭と地域と連携した道徳教育を推進するために、豊かな心を育む教育フォーラムを開催しまして、本年度は小平奈緒選手のコーチであります信州大学の結城教授に講演いただきまして、人との関わり方をテーマに参加者で議論を深めたところでございます。これらの取組によりまして、全国学力・学習状況調査の結果を見ますと、道徳の授業では、自分の考えを深めたり、学級やグループで話し合ったりする活動に取り組んでいるかという質問に対しまして、肯定的に回答した児童生徒の割合が数年前より大きく増加しておりまして、授業の充実が図られていることがうかがえるところでございます。  課題としましては、教員が道徳心に基づいたよりよい行為の実行をすぐに求めるのではなく、一人一人の考えの深まりを教員が認め、励ますような授業づくりをしていくことが課題というふうに考えるところでございます。  特別の教科道徳の評価方法と課題についてでございますが、道徳性は内面的資質でありますので、児童生徒の道徳性が養われたか否か、これは容易に判断できるものではございません。そのため、礼儀や思いやり、善悪の判断、公共の精神などの授業ごとのテーマに照らして児童生徒の学びの姿をワークシートの記述や発言等から把握しまして、考えの深まりについての評価を文章記述によって行っているところでございます。  評価における課題としては、道徳性は数値で測れるものではないため、教師がどれだけ児童生徒の考えの深まりをきめ細やかに把握することができるかが挙げられるところでございます。  教職員の道徳観や職業倫理の向上についてのお尋ねでございます。  教職員は、児童生徒と直接触れ合い、これを教育指導する立場にあることから、とりわけ高い道徳観や職業倫理を求められるところでございます。  本県では、まず、採用予定者に対しまして、配置予定学校の校長から任用前の段階で教職員としての使命感や責任感、社会人としての自覚を促すよう資料を用いて研修を実施しているところでございます。採用後におきましても、校長は、常に教員としての在り方を職員に向けて語り、また、教員同士でも、日頃の教育活動を振り返る中で、互いに教員としての使命や責任感について高める努力を行っているところでございます。  また、ライフステージに応じた教員研修を行いまして、初任者研修、採用5年目、10年目、20年目の研修におきまして高い倫理観と使命感について学び、研修時には、一人一人がセルフチェックシートを用いて自らの研修の成果を評価し、振り返る機会も設けているところでございます。こうした研修を通じまして一人一人の道徳観や職業倫理の向上を図っているところでございます。  考え、議論する道徳の必要性でございます。  現代のように多様な価値観が併存する社会におきましては、特定の価値観を押しつけたり、主体性を持たずに言われたまま行動するような道徳教育ではなくて、考え、議論する道徳の教育を行うことにより、子供たちが他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことが肝要だというふうに考えております。このことから、現実の社会で出会う様々な事案につきまして、一人一人の児童生徒が自分自身の問題と捉え、価値観に対立がある場合でも誠実に向き合って考え、様々な角度から議論し合う道徳の授業の充実を図ることが重要であるというふうに考えるところでございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)犯罪が起きにくい社会を実現するための取組について質問をいただきました。  令和3年における県下の刑法犯認知件数は5,959件で、前年比マイナス985件、マイナス14.2%となり、平成14年以降20年連続の減少で、戦後最少を更新しました。しかしながら、特殊詐欺被害や児童虐待、DV、ストーカー等の人身安全関連事案などが依然として高水準で発生しております。  犯罪の起きにくい社会を実現するためには、犯罪の取締り、街頭での警戒活動等を強化するとともに、自主防犯パトロール等関係機関・団体等が主体となった取組を推進することが必要でございます。  県警察では、特殊詐欺をはじめとした犯罪被害防止対策、子供、女性を犯罪被害から守るための先制・予防活動や、事案発生時の迅速、的確な対応を強化するとともに、自治体等による防犯カメラの設置促進、関係機関・団体等による自主防犯活動の推進、防犯情報のタイムリーな提供等の総合的な犯罪防止対策に取り組んでいるところでございます。  今後も、犯罪が起きにくい社会の実現を目指し、これらの取組を一層推進してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、道徳心や郷土愛、国を愛する心を養うことについての見解について御質問いただきました。  まず、道徳心でありますけれども、道徳教育を通じて人間としての生き方をしっかりと考え、また主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者とともによりよく生きるための基盤を培っていくということは大変重要なことだというふうに思っております。  また、私たちの生命、自由、財産が守られ、一人一人が自分らしい人生を歩んでいくためには、共同体としての国や地域社会の存在は極めて重要であり、その国や地域社会を発展させていくためには、国や郷土を愛するという心はとても重要だというふうに考えております。  しかしながら、愛というものは、人から強制されるものではなく、心の奥底から湧き上がってくる感情であります。私たちがオリンピックで日本選手や長野県関係選手を真剣に応援する思いは、本当に心の中から自然と沸き起こってくる感情だというふうに思っております。そのため、子供たちが、我が国や郷土の歴史や文化、そして私たちの自由や権利がどのように保障されているのかということをしっかりと学ぶことを通じて国や郷土を愛する心が自然に育まれていくことが大切だというふうに考えています。  我々大人としても、子供たちが誇りを持てるような国や郷土にしていくための努力が必要だというふうに考えますし、国際理解を併せて促進するなど、排他的な愛国心を植え付けるような教育とならないよう留意すべきものというふうに考えております。  以上です。       〔35番山岸喜昭君登壇〕 ◆35番(山岸喜昭 君)それぞれ思いをお聞きしました。  道徳は、表現の仕方こそ異なりますが、子供たちに豊かな道徳性を養うことの大切さ、そして、そのために、大人自身、親自身の在り方や社会の在り方を見詰め直し、行動していくことの必要性を強く感じています。具体的に、道徳教育イコールしつけであります。家庭で、地域で、学校で、子供たちに豊かな心、道徳性を育むしなやかな道徳教育が展開され、信州はもとより全国に広がり、大きなうねりとなることを心から願って、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時35分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  川上信彦議員。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)初めに、マイナンバーカードの普及促進について伺います。  本年1月1日現在、マイナンバーカードの全国の普及率は41%、長野県は35%となっています。国は、令和4年度中にほとんどの国民がマイナンバーカードを保有することを目指しており、マイナポイントや健康保険証等の利活用を推奨しています。  現在、マイナンバーカードの普及率が低い原因としては、マイナンバーカードを必要としている人がまだまだ少ないことが指摘されております。そこで、マイナンバーカードを持つことのメリットと今後期待される活用方法について改めて分かりやすく丁寧に周知する必要があると考えますが、所見を伺います。  また、マイナンバーカードの普及を促進する上で、行政手続に関係して、マイナポータルの役割について理解することが重要であると考えますが、現在、マイナポータルはどんな役割を担い、今後どのような役割が期待されているのか。以上2点について企画振興部長に伺います。  次に、国が推奨するマイナンバーカードの保険証としての利用について。  マイナンバーカードを保険証として登録した後、病院等へ持参し、必要な手続をすることで、従来の保険証、診察券、お薬手帳の3点を持ち歩く必要がなくなり、月一度の保険証の確認が要らなくなり、結婚、転職等をしても保険証の更新が必要なくなります。また、特定健診の情報や薬剤情報、医療費が確認できるようにもなります。  厚生労働省では、令和4年度末までに全ての医療機関、薬局でマイナンバーカードが健康保険証として使えるよう各施設で顔認証付カードリーダーの設置等の整備に取り組むとしていますが、現在、県内で利用できる医療機関、薬局はまだ少ない状況です。今後、より多くの施設で利用できる環境が整備されることが望まれますが、現在の状況や課題、整備に向けた施策と今後の見通しについて健康福祉部長に伺います。  次に、11月定例会において、加藤議員のマイナンバーカードの普及に関する質問におきまして、本県において普及がなかなか進まない要因の一つとして、自動車の保有率が高いために運転免許証が公的な身分証明として多く利用されていることが考えられるとの答弁がありました。  近年、全国的に高齢者ドライバーによる痛ましい事故が多数報告される中、無事故のうちに免許を返納しようと考える方も増えており、行政においても高齢者ドライバーの免許証の返納を推奨しています。  一方で、身分証明書を求められた場合、長年運転免許証を提示してきた方は、免許証を手放すことにためらいがある方も多いため、免許証返納の際に顔写真つきの身分証明書としてマイナンバーカードの取得を推進することが有効と考えますが、所見を伺います。
     次に、市町村においてのマイナンバーカードの普及促進の取組について。  自治体のみで行うのではなく、地域の様々な主体と連携し、普及促進を図ることで、マイナンバーカード普及率で市区別日本一となった宮崎県都城市の取組を紹介いたします。  取組は大きく二つあり、一つは、官民連携によるマイナンバーカードの魅力向上の取組です。マイナンバーカードの普及率は20代、30代が低いとの分析から、ターゲットを若者に絞り、地元銀行と子育て応援ローンの金利を下げる取組を実施。ほかにも、温泉施設を運営する第三セクターと、リピーターの獲得や市が補助する温泉券利用の際の円滑な本人確認を目的として、通常は1回の利用で1回押されるスタンプカードのスタンプを2回押すサービスを実施しています。ほかにも、地元信用金庫、飲食店の提案による住民を対象とした特典付企画を実施し、地域産業の活性化に活用しています。  二つ目は、官民連携によるマイナンバーカード申請環境の創出で、担当者がタブレット端末を使い、庁舎外に出ていってマイナンバーカードの申請手続サポートをする取組で、保育園や学校では、職員をはじめ生徒や保護者も対象に実施。また、税務署では、確定申告会場を開設する際に申請サポートの場を設置。この取組は、e-Taxを進めるためにマイナンバーカードを普及させたい税務署の意向と合致し、その後、国から各自治体に確定申告会場でのマイナンバーカードの申請サポートの実施を呼びかける取組のきっかけとなったそうです。ほかにも、企業、商業施設、介護施設、協会組織、ハローワーク、県警察で申請受付を実施しました。  県内でも、青木村では、マイナンバーカードの担当者が、新型コロナウイルスワクチン接種の集団接種会場で、接種後観察待機時間を利用し、登録手続を実施。上田市では、担当者が高齢者のお宅を訪問し、登録手続を行っております。  そこで、本県においても、市町村と連携して、さらなるマイナンバーカードの普及促進を図るため、官民連携によるマイナンバーカードの魅力向上の取組や申請環境の創出の取組を実施すべきと考えますが、以上2点について企画振興部長に所見を伺います。  次に、市町村の行政事務におけるDXの推進について伺います。  新型コロナウイルス感染症により、人との接触を避けるオンラインサービスの利用拡大が求められています。しかし、高齢者は、デジタル活用に不安のある方が多いことに加え、電子申請ができること自体を知らない方も多く、オンラインによる行政手続の利用が進んでいません。  小諸市では、昨年8月から、住民票の写し、印鑑証明等のオンライン申請を開始。窓口に来所せずに、スマートフォンとマイナンバーカード、クレジットカードを使ってオンラインで申請から決済までワンストップで行えるサービスで、申請された証明書は自宅へ郵送で届く仕組みとなっています。  国では、本年度から令和7年度までデジタル活用支援推進事業を実施しており、国民の誰もがオンラインによる行政手続やサービスを利用できるよう、デジタル活用の支援を全国規模で迅速かつ集中的に実施していくとしています。  オンラインによる行政手続や行政サービスの申請に際し必要となるのがスマホ等のデジタル機器であり、誰一人取り残さないデジタル化の推進に向け、デジタル機器の使用に不安のある高齢者の皆さんにスマホの使用方法や電子申請の利便性を伝えていく必要性が高まっています。  そのような中、国では、デジタル活用支援推進事業を実施しており、地域での利用者向けのスマホ教室の開催方法について二つのメニューを用意しています。一つは、携帯電話販売店を中心としたデジタル活用支援を行う全国型、もう一つは、近隣に携帯電話販売店がない地域の住民に対して地域の実情に応じた相談会等を行う地域型があります。そこで、地域型では、地元企業、社会福祉協議会等を実施主体とした高齢者等のスマホ教室について、出張講座の開催についても補助対象とし、対象事業費の全額を国が支援しています。本年度、長野県では8団体が採択となり、事業を実施しているところです。  そこで、国のデジタル活用支援推進事業を活用し、地元企業、社会福祉協議会、商工会議所や商工会が市町村や地域おこし協力隊等とも連携し、オンラインによる行政手続や行政サービスの申請に際し必要となるスマホ等のデジタル機器の使用方法を高齢者等に教える地域型のスマホ教室について、公民館等の公共的な場所で積極的に開催されるよう支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。  今から3年前の6月、会派視察で内閣官房情報通信技術総合戦略室を訪問し、デジタル手続法の概要と行政手続の利便性の向上における行政のデジタル化、行政手続のオンライン化の推進について説明を受けました。その際、政府はどのような目的で行政のデジタル化を進めるかについて質問したところ、住民の利便性の向上と自治体業務の効率化はもちろん、窓口での各種申請手続の際、担当者が業務に追われ、申請書類ばかりを見て住民の顔も見られないような状況から解放され、住民の表情を見ながらより丁寧できめ細やかな対応が可能となることを目指すとの説明がありました。行政のデジタル化を推進する上で重要な視点であると感じました。  その後、この2年間、押印の見直しも進み、紙からデジタルへ、行政手続の簡素化も着実に進んでいますが、コロナ対応、頻発する災害対応など、行政の果たす役割はさらに増加しております。  政府は、令和4年度末を目指して、原則全ての市町村で子育て、介護に関する26の手続を対象に、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続が可能になるよう推進しています。そこで、県内全ての市町村で子育て、介護に関する26の行政手続におけるオンラインサービスが可能となるよう県としても助言や支援を行う必要があると考えますが、現在の市町村の状況と県の対応について伺います。  次に、政府では、市町村の基幹系業務である住民基本台帳、戸籍、国民健康保険、介護保険等20業務について、情報システムの迅速な構築と柔軟な拡張、データ移行や連携の容易性の向上、高度なセキュリティー対策の導入、サーバーなどの共通利用による情報システムに係るコスト削減等を図るため、全ての市町村が令和7年度までに国が整備するガバメントクラウド上に構築された標準化基準に適合した基幹業務システムへ移行するとしております。  そこで、現在国で行っているガバメントクラウド先行事業において、本県から須坂市が採択されましたが、その意義と期待される効果について伺うとともに、県内全ての市町村の基幹系20業務について標準化、共通化への移行が可能となるよう県において助言や支援が必要であると考えますが、現在の市町村の状況と県の対応について、以上3点について企画振興部長に伺います。  次に、コロナ禍における就労支援について伺います。  新型コロナウイルスの影響による求人の減少などで失業が長期化する傾向が続いています。総務省の調査では、仕事を失った状態が1年以上続いている長期失業者は、昨年7月から9月は月平均で66万人と、一昨年の同じ時期より18万人増えました。国では、ハローワークの求職者を対象に、職業相談等を通じて受講が必要である場合に、再就職の実現に当たって必要な訓練を実施するハロートレーニング、公共職業訓練、求職支援訓練を行っています。パートやアルバイトなど、雇用保険の適用がなく失業手当などの受給ができなかったり、受給を完了した求職者を対象に求職者支援制度があり、一定の収入要件を満たすと月10万円の給付金つきで無料の職業訓練を受講できます。そこで、本県におけるハロートレーニングの利用状況と、求職者支援制度の活用状況について伺います。  コロナ禍の影響で、非正規で働く女性を中心に、減収や失業など困窮する人が増えています。一方で、デジタル分野の仕事は感染症の影響を受けにくく、今後、社会のデジタル化でその分野の人手不足が続き、労働力を求めるニーズが高まると言われています。  経済産業省の委託調査で、2030年に情報システム部門などで働くIT人材が最大で約79万人不足すると試算されています。また、育児や介護をしながらテレワークで取り組めるようにする企業も出てきており、この機会を生かし、希望する女性がデジタルのスキルを習得し、仕事ができるよう、行政としても後押しすべきだと考えます。  そこで、国の制度の枠組みは、基本的に性別は問いませんが、県内で実施されているハロートレーニングのメニューにも、事務・情報処理分野においてウェブデザインやプログラミングのコースがあります。そこで、本県におけるハロートレーニングの受講者の状況について伺うとともに、今後県として制度の周知、広報をどのように行っていくのか、伺います。  あわせて、困窮者支援の最前線で奮闘されている社会福祉協議会や自立相談支援機関など福祉との連携が重要です。全国では、社協や支援機関にハローワーク職員が相談や説明会へ出向く取組が始まっており、訓練の多様化や、訓練を受けた後の就職先などの情報提供、丁寧な就職支援を行っています。コロナ禍を機に、再就職、転職、スキルアップを図ろうとする人たちを最大限サポートするための仕組みが重要であります。  そこで、社会福祉協議会や自立相談支援機関など福祉との連携をどのように行っていくのか。訓練の多様化や訓練を受けた後の就職先などの情報提供、丁寧な就職支援について今後どのように実施していくのか、以上3点について産業労働部長に伺います。  次に、奨学金制度と奨学金返還支援制度の創設について伺います。  初めに、「信州学生協会・信濃寮」大学修学等支援奨学金について。  信濃寮の誕生は、今から100年前の大正12年、関東大震災に際し、長野県出身の被災者に対する救護活動が行われ、その際活躍したのが郷土出身の学生でした。その活動は、当時の東京府知事から表彰され、この学生の活動に報いるようにと、有識者、県当局、在京実業家の方々が尽力され、同年12月に中野区に信濃寮が誕生しました。言わば、学生たちの活躍に対する御褒美だったそうです。その後、昭和53年に現在の小金井市に移転、近年、学生の減少に伴う経営難で、昨年3月末、閉鎖となりました。  今回、寮を運営してきた信州学生協会より、財産処分後の残金5億円余を県出身の学生のために役立ててほしいと県に寄附があり、今回の奨学金の創設となりました。100年前の郷土出身の学生たちの活動が今回の奨学金の淵源となったことを知り、深い意義を感じるとともに、この奨学金が未来を担う若者のために有効に活用されることを願います。  県議会では、コロナ禍で拍車がかかる少子化の進行に歯止めをかけるため、昨年11月に少子化対策の一層の強化を求める決議を行い、結婚や子育てに希望を持つことができる社会の実現に向けた対策の強化を求めているところであります。  このような中、今回の令和4年度予算案で、若者・子育て世代への支援について施策パッケージが示されました。その中でも、特に令和5年度から新たな奨学金制度と奨学金返還支援制度をスタートするとのことであり、それぞれ令和4年度において制度設計、広報を行うとのことであります。そこで、「信州学生協会・信濃寮」大学修学等奨学金について、今後詳細な制度設計を行うとのことでありますが、今回の少子化対策パッケージにおけるこの新たな制度の位置づけと実施する目的について、こども若者局長に伺います。  次に、奨学金返還支援制度について、先日の新聞報道を受け、多くの若者や子育て世代から期待の声が寄せられております。自身が奨学金の返還を行っている子育て世代の方からは、子供たちの世代に負担が軽減されるのは大変ありがたい、地元の企業でもぜひ制度を活用してほしいとの声を伺いました。  そこで、奨学金返還支援制度について、県が若者の奨学金返還を直接支援するのではなく、企業を通じて返還する制度とした狙いと、対象企業の条件、補助内容等制度設計はどのようになっているのか伺うとともに、企業や学生への広報はどのように行っていくのか、産業労働部長に伺います。  次に、若者・子育て世代への支援の観点から、奨学金制度と奨学金返還支援制度が同時に創設される意義と効果について、長野県の将来を担う若者への期待と伝えたい思いについて、阿部知事に伺います。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)大きく2項目の御質問です。  まず1項目め、マイナンバーカードの普及促進について3点のお尋ねです。  マイナンバーカードのメリット、活用方法の改めての周知とマイナポータルが担う役割についてということですけれども、マイナンバーカードは、顔写真つきの本人確認書類として、カードそのものが公的な身分証明書となるほか、カードを活用することで、コンビニエンスストアでの住民票の写しの交付やインターネットでの税の確定申告、いわゆるe-Tax、それから、最近できました新型コロナウイルスワクチン接種の電子証明書の取得などができるといったメリットがございます。  また、マイナポータルは、行政手続のオンライン総合窓口として、各種申請のほか、行政情報の確認などのサービスを提供しており、今後、行政手続のデジタル化が一層進むことに伴いまして、その役割は大きくなっていくものと認識しております。  国は、原則全ての自治体で、子育てや介護など特に国民の利便性向上に資する31の手続につきましてマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にする予定としております。こうした行政関係のサービスの拡充に加えて、医療情報の確認など行政以外の部門との連携にも活用されていくことが期待されております。今後、マイナポータルのサービス拡充によりましてカードの利便性もさらに高まっていくことから、各種メディアでの広報活動を強化し、こうした点を分かりやすく宣伝、周知し、カードの普及促進につなげてまいりたいと考えております。  次に、高齢者の免許返納の際、身分証明書としてマイナンバーカードの取得推進が有効ではないかということですけれども、高齢者をはじめとする運転者の免許証返納に当たりまして、警察本部におきましては、運転経歴証明書の交付を受ければ公的身分証明書として使えるとともに、バスやタクシーの運賃割引などの特典が受けられるとしております。また、その際、運転経歴証明書交付済シールを取得し、マイナンバーカードのケースに貼ってカードを提示すれば運転経歴証明書と同様の特典が受けられるとして、マイナンバーカードについても御紹介していただいております。  しかしながら、長年多くの方が身分証明書として運転免許証を活用してきておりますことから、免許証返納が必ずしもマイナンバーカードの取得促進につながっていないものと考えております。こうしたことを踏まえますと、全ての行政機関があらゆる場面でマイナンバーカードを唯一の本人確認書類とすることがカードの普及拡大に極めて有効なのではないかと考えております。令和6年度には、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が計画されておりまして、こうした動きも念頭に置きつつ、警察本部や市町村と連携して取組を進めてまいります。  次に、官民連携によるカードの魅力向上と交付申請の取組についてということであります。  カード取得促進に向けましては、本県においての官民連携の取組ということですけれども、多くの人が集まります商業施設やスポーツイベントや企業に市町村の職員が出向きましてカードの交付申請窓口を設置する、いわゆる出張申請が行われています。これには、県も側面的に支援しております。しかしながら、議員御紹介の都城市の取組のほか、他県の市町村で行われているスマートフォンアプリと連動させて飲食店の無料クーポンを配布するとか、交通系ICカードとひもづけしてポイントを付与するなどといったカード取得に合わせて特典が得られるような形でカードの魅力を高める取組は行われておりません。  今後、こうした様々な優良事例を県内市町村に紹介し、情報共有を図るとともに、申請窓口の工夫など市町村の取組が加速しますよう、地域振興局と共に支援してまいります。  それから、二つ目の項目、市町村の行政事務におけるDXの推進について3点のお尋ねです。  まず、高齢者等に教える地域型のスマホ教室についてということですけれども、国の補助事業を活用しまして、今年度、県内におきましては、地元の企業をはじめ、一般財団法人、学校法人、商工会など様々な法人が自治体と連携してスマホ教室を実施しております。  喬木村商工会では、松本市のNPO法人から講師派遣を受けて、喬木村だけでなく、お隣の豊丘村の住民を対象にするなど、行政区域を超えた連携を行い、参加した高齢者から大変好評を得ていると伺っております。県としましては、このような効果的な取組事例を全市町村が参加いたします先端技術活用推進協議会の場で情報共有を図るなどして、高齢者向けのスマホ教室が県内各地で行われるよう支援してまいります。  それから、市町村の行政手続のオンライン化の現状と県の対応についてというお尋ねです。  来年度末までの26手続のオンライン化整備に向けまして、県内市町村が足並みをそろえて円滑に取り組めますよう、これまで先端技術活用推進協議会の枠組みを活用して様々な場面で情報共有を図ってまいりました。こうしたこともありまして、現時点で県内の9割弱の68市町村がシステム改修に向けまして予算措置を準備、検討しているところであります。  しかしながら、さらなる対応が必要であると考えておりまして、先ほど紹介しました協議会におきまして、市町村と県が共同で利用している電子申請システムの今後の在り方を含め、オンライン化に関わります具体的な取組について検討を始めました。個別の市町村に対しての説明、相談、働きかけを行っているところであります。  最後に、市町村の情報システムの標準化、共通化の現状と県の対応についてというお尋ねです。  国におきましては、DXを強力に推進するため、政府と地方自治体が共通に活用できる情報基盤としてのガバメントクラウドの整備、運用を進めているところであります。  基幹業務システムの標準化に当たりましては、このガバメントクラウドを利用することを推奨しておりまして、議員御紹介の国の先行事業は、市町村が安心して利用できるようにするための移行に係る技術的課題の検証などを今年度から来年度にかけて行うものであります。この事業に須坂市が応募しまして、全国で採択された僅か8団体のうちの一つとなっております。須坂市が採択されましたのは、本県と県内市町村による高速情報通信ネットワークの共同利用や中小規模自治体のモデルとしての汎用性などが評価されたものと考えております。  須坂市が利用しております基幹業務システムは、県内の多くの市町村にも利用されているものと同様でありますので、今回の先行事業により技術検証を行うことで、県内の市町村にとっては、クラウドの構築に当たりまして、現場の実情や要望が反映されること、また、クラウドへの移行の準備の早期着手、円滑な実施に役立つのではないかと期待されるところであります。  県としましては、この先行事業の検証結果やそれを踏まえた国によりますクラウド構築の動向を注視しながら、行政のオンライン化と同様に、先端技術活用推進協議会の枠組みを活用して引き続き市町村を支援してまいります。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)マイナンバーカードの健康保険証としての利用について御質問を頂戴いたしました。  マイナンバーカードに対応する顔認証付カードリーダーにつきましては、医療機関や薬局からの申込みに応じまして国が提供しておりますけれども、県内では、現在、申込み済みの施設が61.2%、そのうち導入準備を完了している施設が20.1%、その中で既に運用開始している施設が14.0%でございます。この数字は、いずれも全国平均を上回っている状況でございます。  課題といたしましては、カードリーダー申込み済みの施設が病院で約9割、薬局で約8割に達する一方で、一般診療所と歯科診療所は約半数にとどまっております。施設の種別により対応に若干の差が生じているというふうに考えております。  システム導入には国の補助制度が活用できることから、今後、医療機関等の取組が一層促進されるものと期待しております。医療分野におけるマイナンバー対応が進みますよう引き続き制度の周知と関係機関への強力な働きかけに取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)4点、順次お答えいたします。  初めに、コロナ禍における就労支援につきまして、ハロートレーニングの利用状況と求職者支援制度の活用状況についてでございます。  求職者向けの職業訓練であるハロートレーニングは、労働局と県、国のポリテクセンターが連携して取り組んでおり、IT系や介護、建設、事務、運輸、工業など幅広い分野において年間300コースを超える訓練を設定しております。令和3年度の12月までの利用状況は、県の民間活用委託訓練で1,070名、工科短期大学校、技術専門校の施設内訓練で61名、国のポリテクセンターの求職者支援訓練で470名、同施設内訓練で301名、合わせて1,902名の求職者が受講しており、これは前年同時期の受講者と比べ84名の増加となっております。  また、国の求職者支援制度として、月10万円の給付を受けながら職業訓練を受講する職業訓練受講給付金の利用状況は、令和3年度の12月末までに407件が支給決定されており、前年同時期と比べ36件の増加となっております。  次に、女性のデジタル分野の受講状況と制度の周知、広報についてでございます。  ハロートレーニングにおける令和3年度12月末までの受講者は1,902名であり、うち女性の受講者は1,214名、全体の64%を占めております。このうち、ウェブクリエイター等の情報処理や一般的なオフィスソフトの操作方法等を学ぶ事務系訓練などのデジタル関連の受講者は、県の民間活用委託訓練が623名で、うち女性は467名、国の求職者支援訓練が423名で、うち女性が317名となっており、全体の女性比率は75%となっております。  議員からも御指摘いただきました現下のIT関連の人材不足の状況を踏まえまして、令和4年度は、民間活用委託訓練におけるデジタル関連の訓練定員を778名から827名に増員いたします。また、35歳以下の若者を対象に、新たにオンラインによるITスキルの習得から再就職まで伴走支援により正社員就職につなげる事業を実施するなど、女性を含めたデジタル分野の訓練を充実してまいります。  ハロートレーニングの制度の広報につきましては、ハローワークや県のホームページはもとより、ラジオスポットや市町村広報紙への掲載のほか、令和4年度は、各種研修会の情報や就職に至るまでの支援制度等をワンストップでお知らせする社会人の学びの総合ポータルサイトを新たに構築するなど、一層の周知に努めてまいります。  次に、生活困窮者に対する就職支援等についてでございます。  議員が御質問で触れられましたように、より安定的な就労機会を確保し生活再建を図るためにも、支援施策を実施する福祉部門と雇用部門の連携は大変重要と考えております。これまでも、ハローワークの職員が福祉事務所や県下26か所の生活就労支援センター「まいさぽ」に出向く巡回相談を行っており、昨年度は246件、本年度は1月までに215件実施いただいております。  また、県としましても、コロナ禍の厳しい就労状況を踏まえ、一昨年に市町村と連携して基金を造成し、まいさぽ等に相談があった就職困難者に就労のマッチングを行う緊急就労支援事業を実施しており、これまでに約300件の就労支援を行っております。  こうした中、より安定した職業に就くためにも、訓練環境の一層の充実が望まれておりましたが、昨年11月に、国の補正予算において求職者支援制度における所得や訓練出席等の要件が緩和され、訓練を受けやすい環境へと改善が進んだことから、当制度の周知、活用を促しながら良質な雇用に結びつけてまいりたいと考えております。  最後に、奨学金返還支援制度の狙い、制度設計、広報についてのお尋ねでございます。  現在、返還支援を実施中の都道府県では、個人支援型もしくは企業支援型による制度運用がなされております。こうした中、令和3年4月から、企業が従業員を経由せずに日本学生支援機構に直接返還することができる代理返還制度が開始され、従業員には所得税や社会保険料の軽減を、企業には負担の損金算入が図られるとともに、同機構のホームページに社名を掲載できる支援策が講じられたところです。  本県の制度構築に当たりましては、こうした状況も踏まえつつ、市町村や経済界をはじめ多くの皆様と意見交換を重ねる中で、若手人材確保の観点からも、企業支援型のほうが県内企業のPRにもつながり、相乗効果が高いと判断したところです。  また、お尋ねの制度概要につきましては、中小企業が従業員の奨学金返還に負担した額の2分の1以内、従業員1人当たり年額10万円を上限に5年度にわたって補助する仕組みを検討しており、早ければ令和5年度に支給を開始したいと考えております。  また、広報につきましては、多くの企業に制度を導入していただけるよう、経済団体を通じた周知のほか、職場環境改善アドバイザーによる企業訪問等を通じて働きかけてまいります。また、就活中の学生の皆さんや保護者の方々には、ホームページやリーフレット、新聞広告など媒体を活用して広報してまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、信州学生協会からの御寄附による新奨学金制度の少子化対策パッケージにおける位置づけと目的について御質問いただきました。  少子化の要因である出生数の減少には、特に子育て世代の経済的負担感が大きな影響を与えているものと認識しております。  本年7月に県が行いました結婚や子育てに関する意識調査でも、実際に持つつもりの子供の数が理想の子供の数よりも少ない理由について、子育てや教育にお金がかかり過ぎるということを挙げる者が約半数に上り、理由の中で最も多くなっております。  今回、信州学生協会からの御寄附を活用し創設いたします新奨学金制度につきましては、子供自身の進路希望を応援するという意味合いはもちろんのこと、こうした子育て世代の経済的負担感の軽減につながるものと考えております。  子供を産み育てたいという希望を後押しするという観点からの少子化対策としても、重要な施策として位置づけております。令和5年度からの実施に向け、しっかり制度設計を行ってまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、奨学金制度と返還支援制度が同時に創設される意義と効果、そして若者への期待という御質問をいただきました。  学生、そして保護者の皆様方にとって、今日、高等教育に要する費用は非常に大きな負担感があるものというふうに考えています。新しい奨学金制度は、信州学生協会様からの御寄附を原資に創設するものでありまして、御寄附いただいたことに対しまして心から感謝を申し上げます。この奨学金制度は、県内出身の学生が県外に進学する際の費用を支援するということで、経済的負担の軽減、そして進学の希望を後押しするものというふうに考えています。  また、奨学金返還支援制度につきましては、就職後の経済的負担を軽減することによりまして、若者の県内企業への就職を促すとともに、結婚、子育て等次のライフステージに進んでいただくということを後押ししようというものであります。  この二つの制度を同時に創設、開始していくわけでありますけれども、少しでも経済的な不安感の軽減につながれば、また、少しでも進学、経済的な側面からどうしようと迷っている子供たちの背中を押すことができればというふうに思っております。  長野県の将来は、若い方々が夢や希望を持ち、その実現に向け進んでいただけるかどうかということにかかっているというふうに考えています。結婚、出産、育児、就労などそのための環境整備に県としても努力していきたいというふうに考えています。  長野県の発展を願う知事の立場といたしましては、若い世代の皆様方に、長野県で暮らすこと、そして長野県で働くことを人生の選択肢の中にしっかり入れていただくことを強く期待するところであります。  以上です。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)2年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響により、新たな生活様式が定着する中、対面からオンラインへ、人と人とのコミュニケーションの方法も大きく変化してまいりました。  マイナンバーカードの普及については、コロナ後を見据え、県と市町村が連携し、企業、団体等の協力を得ながら、あらゆる世代に正しい理解と活用の促進を図り、住民一人一人に寄り添った行政サービスが迅速にまた的確に提供されることを期待いたします。  また、奨学金制度及び奨学金返還支援制度の創設につきましては、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」との日本国憲法の精神にものっとった重要な施策であると考えます。
     制度設計はこれからになりますが、子供たちにとっては、家庭の経済状況にかかわらず、進学する意欲があれば高等教育を修学する機会が確保されること、また、県内企業にとっては、深刻な担い手不足を解消し、経営改善が図られ、優良企業が増加することを希望しまして、私の全ての質問を終了いたします。 ○副議長(清水純子 君)次に、髙島陽子議員。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)改革・創造みらいの髙島陽子です。私は、子供の成長に寄与する環境の整備や、自立への発達段階で欠かせない資源を損なうことなく若者の可能性や未来への選択を広げることを主なテーマとし、7項目にわたって順次質問させていただきます。所属する常任委員会の所管に関しては、緊急の要請がありましたので、取り上げたいと思います。  初めに、コロナ禍における児童養護施設の現状と課題について質問します。  2月8日、夕方と夜のNHKローカルニュースで、コロナ禍における児童養護施設の現状が伝えられました。コロナ感染オミクロン株の流行拡大により、保育園や小学校の休園、休校が相次ぐ中で、県内の児童養護施設や乳児院の現場で働いている職員はかなり大変な思いをされています。  本来は、日中、施設の子供たちが通園、通学していることを前提に勤務体制が組まれ、交代勤務している職員たちが家庭に帰れば小さな子供との生活もあり、日々感染防止対策を迫られながら、休暇を取れない、あるいはぎりぎりの状態で働いています。休んだ職員の代替経費、いわゆるかかり増し経費の支給と職員のサポート体制について頭を痛めています。  そこで、以下、施設運営に対する県の手厚い支援を求め、4点を野中こども若者局長と知事にお聞きします。  1、昨年度、施設の感染症対策への支援があったが、個々の消毒経費などの限定されたものではなく、施設ごとに感染症対策として包括的に一定額を支給してほしいと考えるが、いかがか。  2、他県の例も参考にして、県が中心となり、緊急時、災害時を含めた施設間の職員の相互補助体制を構築してもらいたいが、いかがか。一例として、教育、医療、福祉の職種の枠を取り払って支援体制をつくることを検討されたいが、いかがか。  3、コロナ禍で施設の高校生はアルバイトが制限される中、就職、進学の準備ができていない。そのための支援が必要で、県として何らかの取組をお願いしたいが、いかがか。以上を野中こども若者局長にお願いします。  4、コロナ禍で顕在化した課題を長野県社会的養育推進計画に位置づけ、議論をしてもらいたいが、いかがか。社会的システムとして社会的養護施設が必要であり、そこを大切に守り支援していく姿勢や体制づくりが不可欠です。時代とニーズに対応していく体制づくりや人材育成を早急に応援してほしいが、阿部知事に認識を伺います。  次に、児童生徒が安全で安心できる風通しのよい教育現場について。  これにつきましては、一昨日の私ども改革・創造みらいの代表質問において、小林議員からの質問に関連し、以下、原山教育長にお聞きします。  まず、一つ確認をします。令和3年12月に公表された高校教員の生徒に対する非違行為の個別事案(性的な言動)に対する検証結果報告書とそれに至る調査の結果は確かに正しいということ、それは間違いありませんか。  それを踏まえて、以下4点について質問します。  1、今議会の議案説明において、教育長は、昨年2月に発覚した非違行為事案について深々と頭を下げて謝罪されましたが、それは、県議会、県民の皆様におわびするということでした。当事者不在のように感じられてなりません。危機管理上の問題として課題はまだ残されているのに、捉え方によってはこれで終わりにという幕引きとも思える誤ったメッセージとして受け止められかねず、真意が伝わらないのではないでしょうか。これを説明していただきたいです。  2、これまで、こうした非違行為が続発し、県教育委員会として再発防止に取り組んできた経過があります。2012年には、児童生徒へのわいせつ行為や酒気帯び運転が続発、当時の県教育委員会が教職員の皆さんへの緊急メッセージ「不祥事の根絶に向けて」を発して、信頼回復への行動と姿勢を呼びかけたこともありました。事案発生のたびに、きちんと仕事をしている大多数の教職員は、対策の一環として研修に参加し、時間も労力も費やしていますが、このような負担が教員の誇りや尊厳を傷つけ、教育現場全体の士気を低下させていると考えます。これについての御認識を伺います。  3、今回の事案の検証結果報告書によれば、非違行為を行った教員は、定年退職までの残余期間、療養休暇を取得し、現場に戻らなかったとのことだが、このときの管理職の判断で初期の大切な対応を誤り、見逃したとも受け止められかねません。制度の在り方に問題はないのか、あるならどのような改善が必要か。  4、検証結果報告書を基に、今後の再発防止のために費用や人材を具体的にどのように投入していくつもりか。従来のやり方で研修等を重ねても、教員の負担が増えるだけではないでしょうか。現場の先生たちにどう協力してもらうのですか。原山教育長、明確な御答弁をお願いいたします。  次に、成年年齢の引下げに伴う教育現場の対応について質問します。  先んじて導入されている選挙権行使に関しては、12月の一般質問にて、教育現場の一層の取組を進めるとの答弁がありました。一昨日、小池久長議員の代表質問にも関連しますが、この制度変更により、民法において18歳で可能となる権利拡大と高校の校則や約束事との兼ね合いはどうなるのでしょうか。原山教育長にお聞きします。  高校では未成年と成年が混在することになり、これに伴い、校則や生徒指導、生徒たちへの具体的な配慮などどのような対応が必要になるのか、県教育委員会内での議論も含め、伺います。  続いて、18歳から取得可能な社会のパスポートの一つとも言える若者の自動車運転免許取得の促進について3点お尋ねします。  環境政策、とりわけ脱炭素社会を標榜し、実現を目指す上で、技術革新が導く自動車の未来、我が国の車社会の景色がどう変わるのか、アフターコロナの自動車交通はどうなっていくのか、次世代のモビリティーに注目が集まります。  他方、2000年初頭頃から若者の自動車離れは進行し、積極的に所有、維持、活用しない傾向が見られるようになりました。交通課題は、とかく高齢者の免許返納へ多くの資源が向けられ、この結果、社会全体で見れば免許保有者総数が減少していくこと、何よりも、若者の移動回数が国際的に比較しても減少傾向にあり、活力の減退に影響すると指摘されています。  それでも、長野県では地域生活をする上で運転免許は欠かせないことから、若年層の免許取得は比較的高い水準で推移しているようで、自動車学校の初期費用がおよそ三十数万円と高額であるが、学生の春休みや高校の卒業を控えたこの季節は、県内外の各自動車教習所で学んでから県の免許センターに適性検査や学科試験を受けに来る生徒たちで混み合い、今月は1日200人、3月だとそれは300人に上るほど集中するということです。  小山警察本部長にお聞きします。  長野県免許センターのウェブサイトを見ますと、教習所で卒業検定に受かった方が最終段階となる学科試験を受けるために同所の受付で申請し、その後どのような手続を経て免許交付に至るのか分かりづらいと感じます。ウェブサイト上で受験の流れがつかみやすい情報を掲載されたらよいのではないでしょうか。  県内の自動車学校の卒業生と県外の自動車学校の卒業生は入り口が違うように見えます。県内だと指定の日に行くようになっていて、県外からだと直接会場に行ってから受験の申請をするというような形式になっていることから、感染症対策もありますし、いずれの受験者も、事前に予約して確実に受験ができるといった仕組みで手続となるのがよいかと思いますが、いかがでしょうか。電子申請なら、若者たちはスマートフォン端末などからエントリーしやすくなり、事務の簡素化、合理化につながり、DXに資すると思うので、受験申請の早期デジタル化を提案するところだが、円滑な試験実施に向けた受験者の利便性向上の取組について、現在の検討状況をお伺いします。  次に、自動車学校へ運転免許取得のために通うことに関しお聞きします。  1、18歳で普通運転免許の受験資格を有するにもかかわらず、高校によっては教習所の通学を秋以降に制限していると聞きます。今年5月に、道路交通法の改正で、中型車両の免許が19歳から取得できるようになり、また、第二種免許取得が21歳から可能であるため、その資格として、普通自動車の免許保有がそれぞれ1年以上、3年以上という要件となります。将来の職業選択の上で技能を身につけておきたい生徒から求めがあれば、高校生の社会的、経済的自立促進や人手不足を補う観点から、自動車運転免許の早期取得が認められるよう検討すべきと考えますが、原山教育長、いかがでしょうか。  2、自動車学校に通うための初期費用として一時金が高額であることから、児童養護施設や里親など社会的養護下にある子供たちの運転免許取得に対し、民間の助成制度があると聞きます。こうした取組を県としてさらに拡大できないか、野中こども若者局長に見解を伺います。  次に、若い方たちの力が十分に出し切れる長野県を培うため、技能や経験が浅く、たとえ未熟であっても、また経済的に制約があったとしても、未来を担うために次の人たちを育て伸ばすことを重視した新年度予算や事業を歓迎し、3点をお聞きします。  今、体験の格差に関心が寄せられております。子供の成長期において、自然、文化や社会的な体験活動をどのぐらいしたかにより、育つ過程における自分を認める力や自尊感情の発達に及ぼす影響が大きいとのことで、豊かな体験を得るのに家庭の経済状況で左右されない仕組みづくりが急務です。  子供が置かれている環境の違いはあれ、子供期の体験は、未来社会を担う子供たちの健やかな成長を確かなものにする。そのために、多様な体験活動が必要な要素である。文部科学省が昨年9月に発表した「令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告書 21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果分析結果について」は、体験の効果を経年的視点で調査分析した結果からそれを裏づけたとしています。これは、遡ること20年、平成13年生まれの子供たちを継続的に追跡調査した取組で、ゼロ歳から18歳になるまで毎年欠かさず、調査データを平均2万数千から5万サンプル集計、分析したということです。  20歳を過ぎてみて、生まれてからキャンプやスポーツ観戦、音楽鑑賞、絵本の読み聞かせなどの経験、機会を得られていることが豊かで実りある人生につながるという長期にわたる研究が得た結果は大いに生かされるべきでしょう。  他方、このような数字の上では見えない体験の格差を引きずり、経験の乏しいまま、青年期後期で高等教育機関に進むことがかなわなかったり、苦学生とは今は言わなくなりましたが、学費や生活設計を親の援助なく自力で賄ったりする人も増えています。  家庭環境によってこのような差が広がっていることを、子供たちの間では、実家が太い、つまり親が金持ち、親ガチャ、生まれた家の貧富を選べないなどといった言われ方も聞かれ、生まれ育った家の経済が再生産され、人生設計も決まってしまうとの見方があるのです。さらに、スキルを獲得するチャンスに恵まれず、所得を制限されて生活が成り立ちにくい若者の存在は、内閣府調査による25歳から34歳の世代における格差拡大の幅の大きさから浮き彫りになっています。  以上から、若者の社会的自立を幅広に、かつ、包括的に支援されますことを求め、3点質問します。  1、若者の格差や社会的自立に今後県として正面から向き合っていくためにも、長野県の若者の行動やライフスタイルに関する実態調査を行った上で施策や戦略を検討し、実行していくことが必要だと考えるが、野中こども若者局長に見解を伺います。  2、新年度当初予算案に産業労働分野における若者支援策が計上されていますが、これらを手始めとして、県として若者へ重点投資し、次の担い手の確保や定着の促進、経験に乏しい若手にも再チャレンジの機会を拡大すべきと考えますが、林産業労働部長に展望をお聞きします。  3、家庭の援助が足りず、自力では限界がある学生生活のためには、学費の減免や奨学金の制度などの理解や知識、情報は欠かせません。経済的制約のある生徒に対し、教育現場における進路指導への配慮はなされていますか。また、私がこれまで本会議の場で質問してきたいわゆる私費負担解消の現状はどうなっているでしょうか。原山教育長にお聞きします。  婚活対策についてお聞きします。  新年度予算で提案されている県民の希望をかなえる結婚応援事業、婚活事業について野中こども若者局長にお聞きしたいと思います。  この事業についてお聞きした際に、民間の婚活事業とは異なり、職場や親戚といったより自然な形での出会いや交流の創出というような説明があり、コーディネーターの力量も発揮され、結婚したい方の希望を確かにかなえられたいと願うところです。  ところで、目的や狙いに目を向ければ、「少子化に歯止めを掛けるため」、また、現状と課題として、「本県では20代女性の減少や晩婚による晩産傾向が」とか「結婚・出産に対して後ろ向きな意識の高まり」などといった表現が見られます。具体的なセミナーにおいては、「県内での結婚新生活を希望する県外の若者の参加により」と、これらのように、若者、少子化などのワード多用によって、結婚はまるで子供を持つため、もうけるためにすることというような印象を与えます。  今や年の差婚とか事実婚など婚姻に関する多様な価値が認められ、例えば、同性同士のカップルが結婚相当の関係を公に認められる同性パートナーシップ制度によって、明石市や徳島市などでは子供を家族として公認するファミリーシップ制度が導入され、ほかにも動きがあります。また、コロナ禍で、単身の生活を転換して誰かと暮らしたいと考えるようになったという中高年の思いも耳にし、実際に相談を受けることもあります。  こうしたことから、県の新年度事業は、民間のマッチングサービスなどもある中で、年齢、いわゆる出産適齢期や、子供を持つ、持たないといった条件で限定すべきではないと思います。公の提供する婚活対策は、年齢に関係なく相談や実現に応じられる設計であるべきと考えますが、公共的な見地から見解を伺います。  県の広報物に関しては、昨年6月に、我が会派の花岡議員から、伝わる広報物として立体的な提案がありました。私からは、予算と経費の制約がある中で、また、おびただしい規模で流れるコマーシャルの渦の中で埋もれない、薄まらない、利益相反の起きないような広報を目指してほしいとの観点から、伊藤企画振興部長にお聞きしたいと思います。  インターネットの拡大で、広告収入で比較すると、テレビやラジオなどのコマーシャルをデジタル媒体におけるコマーシャルが押しているといった調査結果も伝わりますが、このようなメディア環境において、テレビやラジオ、新聞などの既存媒体に加え、インターネット等を効率的に利活用しながら県の広報啓発を一層充実させていくべきだと考えます。  若い人は、スマートフォン端末で情報を得ることが圧倒的に多くなっております。一方、コロナ禍の感染症対策として、紙媒体によるお知らせなどの情報伝達は難しいために、放送メディアなどの宣伝力に改めて期待する傾向もあります。発信の効果をより高めるため、テーマごとにターゲットを見定め、年齢層にも配慮した上で広報啓発を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には6問御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、児童養護施設における感染症対策経費に対する支援についてでございます。  児童養護施設等における感染症対策に要する経費につきましては、昨年度から、1施設当たり年間800万円を上限として、個室化に要する改修経費や衛生用品等の購入経費、さらには学校休校等に伴う職員体制の変更に伴うかかり増し経費など、新型コロナウイルス対策に関する様々な経費について全額補助をしておるところでございます。  また、この経費補助に加え、施設等において日常的に使用するマスク、消毒液、ガウンなどの消耗品につきましては、各施設から必要数を聞き取った上で定期的に県が一括購入し、配付しているところでございます。  御要望の感染症対策経費を包括的に一定額支給するという方法につきましては、補助金の適正利用という観点から難しいものと考えておりますが、当該補助金の対象経費の使途につきましては、先ほど申し上げましたとおり、感染症対策であれば幅広く認められており、県といたしましては、本制度を御活用いただくことで、施設における感染症対策を引き続き支援してまいりたいと考えております。  次に、児童養護施設における緊急時、災害時の職員体制構築に係る支援についてでございます。  児童養護施設を含む社会福祉施設におきましては、災害や感染症発生時においてもサービス提供を維持していただくことが求められており、そのための必要な項目等を定めます事業継続計画を作成していただくようお願いいたしているところでございます。  しかしながら、本県の児童養護施設等におきましては、慢性的に職員が不足をしているとともに、1施設1法人による運営形態が多く、施設間で職員を補完するということが困難であるなどの理由から計画の策定がなかなか進んでいないという状況でございます。  御提案の緊急時、災害時を含めた施設間における職員の相互補助体制につきましては、職員派遣先における感染や被災のリスク管理、費用負担の仕組みの構築など課題があるものと認識しております。このため、県といたしましては、まずは各施設における事業継続計画を策定いただくよう促すための助言や取組の好事例を情報提供させていただきます。その後、施設間における職員の相互補助体制につきましても、施設関係者等の御意見を伺いながら、他県における取組を参考にしつつ、きちんと研究をしていきたいと考えております。  次に、児童養護施設から自立する児童の就職、進学のための財政支援についてでございます。  進学、就職する際の経済的な支援につきましては、児童福祉施設等に対して支払われる措置費に含まれております。保護者による経済的援助が見込めない児童に対しては1人につき19万8,540円分、それ以外の児童については1人8万2,760円分が支払われており、退所時に児童へ現物等で給付されます。  また、進学する児童に対しましては、本県独自に寄附金を活用した給付型の奨学金制度を設けております。平成27年度の事業開始から令和2年度までに延べ105名に対し、入学一時金10万円、毎月の奨学金月額5万円を支給しているところでございます。  さらに、自立前の資格取得費、進学後の家賃や生活費、就職後の家賃の貸付制度も行っており、平成28年度の事業開始から令和2年度までに延べ32名に対し貸付けを行っております。当該貸付金は、5年間就業を継続した場合、返還が免除されております。  県といたしましては、施設等から自立する児童がこれらの支援を十分に活用し、就職、進学後も経済的に安定して生活できるよう、引き続き制度の周知等に努め、支援してまいります。  次に、社会的養護下にある子供の運転免許取得支援について御質問いただきました。  児童養護施設や里親等の社会的養護下にある児童の運転免許取得に係る費用につきましては、児童福祉施設等に支払われる措置費の中に各種資格取得のための費用として含まれており、5万7,620円を上限として支給されております。  また、この措置費による給付とは別に、普通自動車運転免許を取得する際の費用として10万円を補助する事業を平成17年度から県独自に行っており、令和2年度は23名に給付しておるところでございます。県におきましては、引き続きこの助成制度が積極的に活用されるよう周知に努めてまいります。  次に、若者の行動やライフスタイルを踏まえた上での施策や戦略の検討、実行について御質問いただきました。  若者の経済的、社会的な自立を支援する上では、若者の意識や行動、ライフスタイルを把握することは非常に重要であると認識しております。こうした観点から、県におきましては、毎年実施いたします県民の結婚・出産・子育てに関する意識調査により、若者の結婚や子育てに関する意識と併せて、就労状況や働き方、年収についても把握させていただいているところでございます。  加えて、大学生等を対象に開催しておりますライフデザインセミナーにおいても、参加者に対して将来のライフイベントに対する意識や現在の関心事項についてアンケートを行うなど、若者の意識や行動の把握に努めておるところでございます。  こうした取組に加え、次期子ども・若者支援総合計画の改定に向けた議論を進めるに当たっては、将来を担う若者との意見交換会の開催など、できる限り多くの若者から意見をいただくよう努め、必要な施策を検討してまいります。  最後に、公的婚活事業の対象年齢に関する公共的見地からの見解についてでございます。  来年度予算案において提案している結婚応援事業を含め、県の行っている取組につきましては、結婚の希望を持ちながら様々な理由でその希望がかなえられていない県民の方を対象に、その希望の実現を目指して行っているものでございます。対象となる年齢につきましては、18歳以上であるということ以外に制限は設けておりません。実際に県が運営をしております婚活マッチングシステムにおいては、現在、20代から70代までの幅広い年齢層の皆様が登録、利用されているところでございます。今後も、引き続き年齢に上限を設けることなく、県民の皆様の結婚の希望実現を後押ししてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、児童養護施設に関連して御質問を頂戴いたしました。  まず、コロナ禍で顕在化した課題の社会的養育推進計画への位置づけ及び議論についてという御質問であります。  コロナ禍で顕在化した社会的養護施設における人材の確保育成や、施設退所後の自立に向けた支援の充実といった課題につきましては、長野県社会的養育推進計画においても基本目標の一つとして定められておりまして、重点的に取り組むべき事項だというふうに認識しております。  本計画に関連いたしましては、県の社会福祉審議会児童福祉専門分科会におきまして、毎年進捗状況の検証、評価を行っておりますことから、コロナ禍における状況を踏まえ、さらなる支援や見直しが必要かどうか御議論いただきたいというふうに考えています。  続きまして、時代とニーズに対応していくための社会的養護施設の体制づくりや人材育成に対する認識についてという御質問でございます。  社会的養護施設につきましては、家庭養育優先原則の下、御家庭での子育て支援対策強化や里親委託の推進を進める中で、ケアニーズの高い子供への支援、里親による養育への支援や家庭支援を担うことが期待されておりまして、施設における専門的人材の確保育成は大変重要なことだというふうに考えております。  また、社会的養護が必要な児童のケアを行う人材の確保育成は、子供の養育を地域で支える者にとっての共通の課題だというふうに考えています。このため、県といたしましては、来年度、市町村、人材養成を担う教育機関、児童養護施設等関係者の参画を得て、人材確保・育成システム検討会を立ち上げていきたいと考えております。社会的養育に関わる人材の確保育成に向けた具体的な方策について検討する予定でありまして、具体的な取組にしっかりとつなげていきたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、非違行為に関する御質問に関しまして順次お答え申し上げます。  まず、検証結果報告書とそれに至る調査の結果が正しいかという御質問でございます。  今回の事案の関係職員に対しましては、厳正に聞き取り調査を行うとともに、当時の関係書類の確認も併せて行ったところでございます。調査結果とそれを基に取りまとめた検証結果報告書の内容は間違いないところでございます。  次に、教員による非違行為に対する謝罪の真意についてという御質問でございます。  今回の事案は、長野県教育への信頼の根幹に関わる重大な事態であり、県教育委員会として非違行為根絶に向けて取り組んできた中で今回の事案が発生したことは、あってはならない極めて遺憾なことというふうに考えております。これからも、今回の事案を忘れることなく、県教育委員会全体で一層気を引き締めて検証結果報告書で示した性暴力根絶のための対策を実施してまいりたいというふうに考えております。  続いて、再発防止研修と教員の尊厳、教育現場全体の士気の低下についての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、非違行為の根絶に向けまして、校内で時間を設け、グループワークでの研修などに全ての教員に参加してもらっているところでございます。  非違行為を起こすのは極めて少数の教員であり、ほとんどの教員は高い倫理観を持って教育に当たっております。しかしながら、その少数の非違行為が教員全体の社会的信用を失墜させることになるため、自分は関係ないということではなく、自分たちのこととして非違行為の根絶に取り組む必要があるというふうに考えております。  研修の方法も、校長の一方的な講話ではなく、ワークショップ形式の研修を取り入れるなど、同僚との対話を通じまして学校全体として自分たちのこととなるよう工夫をして行っているところでございます。教員の尊厳や教育現場全体の士気を低下させないためにも必要であると考えているところでございます。  療養休暇制度についてでございます。  制度上は、療養休暇を取得する場合には、まず本人から健康状態について申出があり、校長が本人と面談を行う。そして、その後、30日を超える療養休暇を取得する場合には、本人が校長に医師の診断書を添付した療養休暇願を提出し、校長が承認することとなります。承認後、校長は高校教育課長に報告するということになっております。制度的には県職員と同様となっているところでございます。  本事案については、元教員から、療養休暇願とともに、令和2年3月31日までの療養を要する旨を記載した医師の診断書が提出され、その診断書に基づき校長が療養休暇を承認しており、この療養休暇は制度上適正に与えられたものであり、それ自体には問題はないというふうに考えているところでございます。  再発防止のための費用や人材の活用と研修による教員の負担の増加についてというお話でございます。
     性暴力等を見逃さない、見落とさない仕組みとしまして、校長から県教育委員会に報告があった場合には、担当課だけにとどめず、最初から私を含む処分に関係する職員で共有する。これまで、児童生徒への聞き取りに当たっては、教員のみで行っておりましたが、必要に応じ専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等に聞き取りを依頼する。被害を訴えた行為が性暴力等に該当するか否かの判断に当たっては、弁護士や臨床心理士、犯罪心理学等の専門家で構成するコンプライアンスアドバイザーの協力を得るなど、外部人材も活用して再発防止に努めてまいりたいと思っています。また、教職員が非違行為の事案を把握した場合には、学校を通さずに直接通報ができる教職員通報・相談窓口の周知徹底を図ってまいります。  なお、研修につきましては、取り扱う事例をより効果的なものとなるよう工夫するなど、現場の教員の負担が増えないよう意を用いてまいりたいというふうに考えております。  続きまして、成年年齢の引下げに伴う対応についてでございます。  令和4年4月の民法の一部を改正する法律の施行に伴いまして、生徒が大人として取り扱われます。成年年齢を引き下げることは、18歳、19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、例えば、親の同意を得ずに様々な契約行為や退学等の決定も単独で行うことができるようになり、自分の行為に自分で責任を負うことが求められます。  そのことを踏まえまして、県教育委員会として、例えば、退学や転学の手続の際には、生徒自身の考えが基本的に尊重されるべきであること、その上で、経済的な扶養を行っている父母等との連携は必須であるということで考えております。  また、同じ学校の生徒として従うべきルールや生徒指導については、成年年齢に達しているか否かにかかわらず、基本的には共通であろうというふうに考えているところでございます。  次に、高校生の自動車運転免許の早期取得についてでございます。  県立高校では、それぞれの学校ごとに運転免許取得に関するルールを定めておりまして、多くの学校では、地域の自動車学校と連携し、自動車学校への通学を、生徒の就職や進学等の進路が決定する秋以降としておるところでございます。  生徒の運転免許の取得については、最終的には学校長が時期や方法について判断するものでありますが、特に、就職後特定の免許を取得するために早期に在学中に普通免許を取得する必要がある場合など、生徒の状況に配慮して柔軟に対応するべきものと考えておりまして、各校に促してまいりたいというふうに思っております。  次に、経済的制約のある生徒への進路指導の配慮と私費負担の現状についてでございますが、県立高等学校においては、家庭の経済状況に左右されることなく、全ての生徒の成長を支える進路指導体制づくりを目指しております。特に、進路指導面での配慮につきましては、経済的な制約などによりまして進路選択の幅が狭められることのないよう、奨学金制度等の周知を徹底するとともに、進路情報誌の共有なども行っているところでございます。  また、私費負担に関しては、学校徴収金に関する基本原則等を規定した「学校徴収金の基本的な考え方」に基づきまして、保護者負担軽減の観点から、各学校において毎年度教材費等の見直しを行っております。学校納入金等調査の令和2年度の実績では、例えば教科活動費におきましては、前年度から生徒1人当たり500円程度低くなっているという状況でございます。あわせて、市町村民税所得割額の非課税世帯を対象にした奨学給付金の支給やBYOD端末の貸与など私費負担の軽減も図っているところでございます。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)運転免許の学科試験受験者に対する利便性向上への取組についてお答えいたします。  運転免許の学科試験において受験申請の一連の手続をデジタル化することにつきましては、成り済まし防止の観点からの受験者の本人確認、受験資格の確認等をどのように行うのかといった課題があると考えております。  県警察といたしましては、学科試験を受験される方の利便性向上方策として、受験の際に必要となる運転免許申請書を事前に作成して持参していただくことで窓口での作成を省略できるよう県警ホームページに掲載することや、学科試験を初めて受験される方につきまして、受験手続の流れ等を理解しやすいよう既存のホームページの内容を改良するなど、受験者の利便性向上に努めてまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)若者人材の確保定着の促進と再チャレンジの機会の拡大、そして展望についてのお尋ねでございます。  若者人材の確保定着促進については、これまでも、ポータルサイト「シューカツNAGANO」や移住総合ウェブメディア「SuuHaa」による県内企業の魅力発信に加え、県内企業の若手社員で結成いただいた応援隊と学生との交流会の開催等若い世代へのアプローチを強化してきたところです。  また、本県へのUIJターンや移住を促進するため、子育て世帯などへの移住経費の助成、プロフェッショナル人材戦略拠点を介して人材を受け入れた企業への助成等に加え、新たに従業員の奨学金返還支援を行う中小企業への助成制度の創設に取り組んでまいります。  他方、再チャレンジの機会の拡充はもとより、第2の就職氷河期世代を生まないためにも、就職に困難を抱える若者の支援が欠かせません。ジョブカフェ信州におけるキャリア・コンサルティングやJobサポにおける正規就労支援に加え、来年度、新たに、非正規雇用やコロナ禍で離職した35歳以下の若者を対象に、オンラインを活用したITスキルの習得から再就職までを一体的にサポートする伴走型支援を行う予定です。  アフターコロナに向け、産業経済を再生、成長させていくためにも、原動力となる将来世代への支援、投資は極めて重要だと考えております。今後とも、労働局や経済団体等と連携しながら取り組んでまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)効果的な広報啓発を行うべきというお尋ねですけれども、議員御指摘のとおり、広報を行うに当たりましては、目的を明確にした上で、誰に、何を、どのように伝えるのか、ターゲットごとに手段や内容を適切に選んでいくことが重要です。  県民ニーズや広報媒体も多様化しております。若い世代に分かりやすく情報をお届けできるように、ツイッターやユーチューブ、LINEなどのSNSを活用する、いわゆるデジタル広報の強化にも取り組んでいるところです。  ただし、県の組織文化として、県政情報は広報県民課にお任せといった意識がまだ強いと感じております。県民の皆様に県政に対する理解を深めていただき、県政に参加していただくためにも、県職員一人一人が共感力、政策力と一体的に発信力を身につけ、分かりやすく積極的に情報発信を行っていくことが必要であると考えております。このため、今年度、広報の基礎や各媒体の特性や活用方法などを学ぶ研修を実施しております。  これに加えまして、次長会議や主管課長会議におきまして、全庁的な視点での広報の在り方や職員の発信力向上についても議論しているところです。  今後とも、発信力向上と発信の在り方の改善を常に意識しながら、県民の皆様にしっかり届く広報啓発に全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)それぞれ御答弁いただきました。  教育長は、以前、学校の先生が多忙で、長期の休暇を取れないことをどうにか改善したいとの思いを表明されていたと記憶しています。今、先生たちが本来の学習や教育のために資源を増やし、これ以上すり減らさず、初志の希望を保ち続ける現場となっているでしょうか。今こそ原点に立ち返り、足元に目を向け、教職員と児童生徒が安心して学び、働ける現場を盛り立てていただけますよう切に願って、私の質問一切を終わります。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時27分休憩          ──────────────────         午後2時44分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)改革・創造みらい、塩尻市区選出の続木幹夫です。順次質問に移ります。  まず、農薬のリスク低減への取組について伺います。  今、なぜ農水省はみどりの食料システム戦略の中で有機農業の推進を打ち出したのでしょうか。その主な理由は、化学農薬や化学肥料は自然環境などに悪影響を及ぼすからということに尽きると思います。  農薬散布は、農産物の種類によって、それぞれ散布してよい農薬の種類、散布の回数、濃度が定められ、農家は厳密にそれを守り、記録し、出荷する際には生産履歴としてその記録の提出が求められています。そして、出荷後も、検査機関が抜き打ち的に残留農薬を検査し、許可された農薬以外のものが検出されたり基準以上の残留農薬が検出されたりした場合は出荷停止となります。  しかし、これらは消費者が口にしたときに健康を害することがないようにするための定めであって、農家の健康を守るためのものではありません。皆様も目にしたことがあると思いますが、古い形の果樹用の農薬散布機は、運転席がむき出しになっていて、雨がっぱを着て、農薬散布用のマスクをし、ゴーグルを着けて、シャワーのように農薬を浴びながら散布をしています。また、農薬散布直後の圃場で農作業することが頻繁にあり、農家は消費者より多量に農薬を摂取しています。しかし、私をはじめ、農家は純朴ですから、国が認可した農薬であるから、その使用基準を守って使用していれば健康を害することはないだろうと国を信用して農作業をしています。  しかし、最近、私は大きく不安に思うことがあります。それは、多くの国で使用禁止となっている幾つかの農薬が、我が国では認可され、使用されているということであります。したがって、国が認可している農薬であっても、多くの国でその使用が禁止され、WHO(世界保健機構)が人体に害を及ぼす可能性が強いと警告している農薬は、少なくとも子供が近寄る場所には使うべきではないと考えます。そして、その農薬の一つがグリホサート系の除草剤です。  そこで、教育長に伺います。  現在、県下の学校や通学路などの整備でこのグリホサート系の除草剤が使われていることはないでしょうか。県下の学校に対し、この農薬の使用を極力控えるよう改めて注意喚起すべきと思いますが、教育長に伺います。  そして、もう一つ危惧する農薬が、ネオニコチノイド系の殺虫剤です。先頃、この農薬は、昆虫のみならず、哺乳類の神経系も麻痺させ、脳の発達に影響するとの研究報告が出ています。昨年の11月定例県議会で私が申し上げたとおり、農水省が有機農業を推進するといっても、そう簡単にはまいりません。まだ当分の間は、農薬は農産物などを病害虫や雑草から守り、安定した収穫量や高品質な農産物を生産する上で必要であります。とはいえ、農家の農薬散布の作業状況は先ほど述べたとおりであります。  みどりの食料システム戦略においても、ネオニコチノイド系の農薬を含む従来の殺虫剤に替わる新規農薬等の開発を急ぐと同時に、2050年までに化学農薬の使用量を50%削減することを目指すとしています。そこで、県として、今後農薬のリスク低減に向けてどのように指導し、取り組んでいくのか、農政部長に伺います。  次に、松本南西地域農地風食防止対策について伺います。  塩尻市西部、朝日村、山形村、松本市南部の松本南西地域では、毎年2月から4月にかけて朝日村にある鉢盛山から鉢盛おろしと言われる強風が吹き、冬期間作付されていない野菜畑などから土ぼこりが舞い上がり、とても日本の農村風景とは思われない、まるで砂漠地帯のような砂嵐が起きます。生産や生活に著しい被害が発生しており、地域の大きな問題となっています。  昭和30年代以前、この地域は、野菜をはじめ、水田や果樹、桑など多種多様な農産物が栽培されてきましたが、昭和40年代、零細な農家が担ってきた農業を生産性の高い農業に変えるため、国の産地政策に基づく農業構造改善事業により、この一帯はレタスなどの野菜を効率よく生産できる農地に土地改良され、風や土ぼこりを遮る樹木などがなくなり、畑の土がむき出しとなり、さらに、大型トラクターで土を微細に粉砕するようになったことが原因でこのような砂嵐が起こるようになったと考えられます。  そして、近年、この地帯も住宅地ができ、住民から、洗濯物を外に干せない、サッシや雨どいに土が大量にたまるといった苦情が多く寄せられるようになり、中には、土に含まれる残留農薬が舞ってくる公害であるという苦情も出てきています。  こうした状況を踏まえて、かねてより県や市町村、JA、農家が対策協議会を設置し、麦の種を農家に無償配付し、収穫が終わった秋に畑にまくよう推奨してきましたが、様々な理由により決定的な防止対策にはなっておらず、今日に至っております。近年、この砂嵐に対する地域住民からの苦情はさらに高まってきており、このまま手をこまねいているわけにもまいりません。この風食被害は、松本南西地域2市2村にわたるため、県が主導して対策を図るべきと考えます。  そこで、農政部長に伺います。  現在、県としてこの風食被害防止対策にどのように取り組んでいるのか、伺います。また、どのような策を施すにしても、この地帯のほとんどの農家の理解と協力が得られなければ防止対策とはなりません。農家の善意によるボランティアに頼っていたのでは多くの農家の協力は得られないことは証明されてきました。そこで、防止対策作業に係る労働の対価を農家に支払うなどして農家の協力を得る策も必要と考えます。どのように多くの農家の理解と協力を得ていくのか、伺います。  また、土ぼこりは農家に降り積もり、ひどいときにはホワイトアウトならぬイエローアウトとなり、毎年管理している市町村がブルドーザーなどによる土の除去作業を行っています。そして、何より、側溝にたまった土は除去し切れないため、多くのところで放置され、側溝としての機能を果たしておらず、豪雨のときなどには、農道を下ってくる土砂が畑に流れ込む被害が多発しています。  農道は市町村が管理者であるため、地元の市議などを通して市役所に改善を求めるのですが、近年の頻発する豪雨などによる被害対策に追われ、とても農道にまで修繕の手が回らないといった状況です。農道は、土地改良事業時に敷設され、完成後、保全管理は市町村となりますが、県としても農道の保全管理を支援すべきと考えます。農政部長に伺います。  次に、高校生の自殺防止について伺います。  本県は、かねてより未成年者の自殺率が高く、大きな問題とされてきました。そこで、平成30年に知事を座長として子どもの自殺対策プロジェクトチームが設置され、子供の自殺の背景分析や防止策の検討などを行ってきたとのことですが、いまだになぜ本県において未成年者の自殺率が高いのか、その明確な原因は分かっていないということであります。  本県議会でも、度々自殺防止対策について取り上げられてきましたが、理事者側からは、判で押したように相談体制を強化すると答弁されております。しかし、原因が分からずして相談体制を幾ら強化しても、根本的な問題解決にはつながりません。  本年2月2日に子どもの自殺対策プロジェクトチームが開かれ、本県のおととしまでの5年間で自殺した未成年者のうち、高校生が全体の66.7%を占め、全国に比べておよそ25%高いことが報告されました。また、自殺の理由は、遺書などから原因が分かる45人のうち、学業不振が9人と最も高く全体の20%を占め、全国の割合よりも7.3%も高くなっているという報告がされました。  そして、この会合の構成員から、高校生の自殺率が高い理由として、市町村の多い長野県では、中学校まで地元の少人数クラスで育った子供が多く、環境が大きく変わる高校で悩みを抱え込むのではないかといった意見が出されたとのことであります。  そこで、阿部知事に伺います。  この委員から出された、中学校まで地元の少人数クラスで育った子供が多く、環境が大きく変わる高校で悩みを抱え込むからではないかという意見について、本県において高校生の自殺が多い理由として一理あると考えますか、伺います。一理あると考えるならば、その解決策としてどのようなことが考えられますか、伺います。  また、他の自治体の行政経験もある阿部知事から見て、本県における子供を取り巻く環境について特徴的だと思うことがあればお聞かせください。また、それらを踏まえて、未成年者の自殺対策への知事の思いを伺います。  先頃、大学入学共通テストの東京大学本郷試験場で、東大の医学部を目指している高校生が学業不振を理由に他の人を巻き添えにして自殺を図ろうとした事件がありました。東大の医学部に当たる理科三類の偏差値は、あまたある日本の大学の中で頂点にあります。医学部は他にも幾つもあるわけで、医師になりたいのであれば必ずしも東大である必要はないと考えますが、この高校生にとってはそれ以外の道は考えられず、絶望したのでしょう。  この高校生の行動は余りにも異常であるとは思いますが、しかし、誤解を恐れずに言えば、こうした自己中心的で成績さえよければよいのだという偏狭した視野の狭い考えを持った高校生は偏差値の高い進学校に潜在的に多いのではないでしょうか。つまり、偏差値の高い高校、大学を経てエリートコースに乗る以外の人生は考えられず、また、親や学校もそれ以外の生き方は人生の敗北者であると知らず知らずのうちに子供に刷り込んできたのではないでしょうか。  そこで、教育県として名高い本県は、偏差値の向上のみならず、人には多種多様な生き方や価値観があり、人間が持つもろもろの資質を全面的かつ調和的に育成する全人教育の強化が必要と考えますが、教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、学校の校庭等での除草剤の使用についてのお尋ねでございます。  県立学校の敷地内の除草については、基本的には草刈機で行っておりますけれども、壁やフェンスの脇など草刈機の使えない場所にグリホサート系などの除草剤を使用する場合がございます。  学校を含めた公共施設における農薬の適正使用につきましては、平成29年の11月に環境部と農政部との連名により通知しておりまして、また、毎年、農薬危害防止運動の実施期間に合わせ、県立学校及び市町村教育委員会に対し農薬の適正使用について周知しているところでございます。また、通学路等学校近辺での農薬の使用については、関係部局が連携して適正な使用を依頼しているところでございます。  学校では、万が一にも子供が農薬を浴びることがないよう、児童生徒が在校している時間帯に実施しないことや、児童生徒が活動する場所には散布しないなど最大限配慮して行っているところでございます。  農薬の安全性等については、関係部局から情報を得ながら、学校において安全かつ適正に使用できるよう学校安全教育研修会等の機会を通じて引き続き周知してまいりたいと考えております。  次に、全人教育の強化の必要性についてでございます。  変化が激しくて正解のない時代を迎えまして、学校においても教員が生徒一人一人のよさや可能性を見いだし、必要な支援を行うことで、これまで以上に生徒の個性を尊重し、伸ばす教育が大事であるというふうに考えております。  生徒の中には、例えば大学受験等に向けて、試験の点数、順位や評定、偏差値などを他者と比較する中で、自分の相対的な位置が低いことや努力が成果として反映されていないこと、周囲の期待に応えられないことなどに悩み苦しむ生徒もいると思います。長年にわたって培われてきた全人教育の精神を尊重し、生徒一人一人の命や人権、努力や個性等が真の意味で大切にされ、学校が生き生きと学ぶ空間となることで生徒のウェルビーイングを実現してまいりたいと考えております。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には4点御質問をいただきました。  初めに、農薬のリスク低減への取組についてでございますが、現在、国内で販売、使用が認められている全ての農薬は、農薬取締法に基づき、国が健康や環境に対する安全性の評価を行い、適正に使用すれば問題がないと判断し、登録されたものです。  また、国は、さらなるリスク低減に向け、農薬取締法を改正し、既に登録された農薬であっても最新の科学的知見に基づく安全性等の再評価を行う仕組みを導入し、使用量の多い農薬から順次開始したところです。県としましては、こうした動向を注視し、新たな知見が示された際には、農業農村支援センターを通じて農家へ情報提供してまいります。  なお、農薬使用を必要最小限として環境と調和した農業生産の取組は重要であることから、県独自の環境にやさしい農産物認証制度の運用や農薬に頼らない病害虫防除の実証等に引き続き取り組んでまいります。  次に、農地風食の防止に係る県の取組についてでございます。  風食防止対策は、一部の地域の取組では効果が小さいことから、松本農業農村支援センターが事務局となり、松本市、塩尻市、山形村、朝日村やJAの参画を得ながら平成16年に対策協議会を設置し、広域的な取組を進めてまいりました。また、県は風よけの防風ネットや土壌の乾燥を防ぐ散水、信州大学が特許を取得した被覆資材など様々なアイデアを対策協議会に提案し、対策協議会が現地実証と普及促進を行うなど、県と対策協議会が役割を分担して取組を進めてきたところです。  これまでの現地実証の結果、現段階での最良の対策となる野菜花き試験場が開発した越冬麦のすき込みによるレタス栽培技術については、関係市町村やJAとの連携により、農家の協力を得ながら、地域の農地約1,850ヘクタールのうち4割弱の675ヘクタールまで普及が進んでおり、一定の効果が認められております。  次に、対策への農家の理解と協力についてでございますが、土ぼこりの飛散防止対策として麦の作付の拡大をする一方で、農家の理解と協力がより得られやすい新たな対策が求められているところです。このため、対策協議会では、野菜花き試験場の提案を受けながら、冬にマルチを張る越冬マルチ方式のレタス栽培による飛散防止の現地実証に本年度から着手しており、農家の負担が少ない新たな対策として期待されているところです。  また、山形村では、砂嵐の発生を知らせる風食注意報を住民に提供し、生活面への被害を軽減する活動を住民に促す取組も行われております。このような農家と住民の両者の理解を得ながら一体となった活動が広がるよう、関係市町村と連携し、対策協議会において検討を進めてまいります。  最後に、農道の保全管理に対する支援についてでございますが、農道の側溝にたまった土砂の撤去については、農業者などの理解の下、地域が共同で取り組む活動に対して補助金が交付される多面的機能支払事業により支援することが可能です。また、農道の側溝や舗装などの改良については、市町村からの申請があれば農業基盤整備促進事業等の国庫補助事業の活用が可能なため、県としても必要な助言を行ってまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私に対しては子供の自殺について御質問いただきました。  まず、先日開催された子どもの自殺対策プロジェクトチームにおける発言に関連しての御質問をいただきました。このチーム会議において自殺対策をずっと行っていらっしゃるライフリンクという団体の清水さんからの御発言でありますけれども、長野県で高校生の自殺の死亡率が高いということに対して、これは私見ということでありますが、中学校までは学級数が少なく家庭的な雰囲気の中で過ごしていた子供が、高校に進学し、開かれた人間関係の中で関係を構築するという状況の中で、うまく関係を築けず、自殺へと追い詰められていくという可能性もあるのではないか、また、中学までの評価や成績が高校で相対的に下がって、自己肯定感の低下により精神的に追い込まれる可能性があるのではないか、私見としてそうした可能性があるのではないかということが示されたところであります。  その会議の場で、他の委員からも、高校生になるときに自殺のリスクが高まるということであれば、SOSの出し方教育等について中学生までに徹底して行う必要があるのではないか、また、中学校までの様々な傷つく体験が高校に引き継がれていないような実態があるのではないか、そうした中学校までと高校との引継ぎの課題が指摘されたところであります。  この会議の後、中山間地域の方とお話しした際にこの話を少し持ち出させていただいたんですけれども、自殺ということではありませんが、小規模校から高校に行った後、なかなかお子さんがなじめなかったという経験がおありになる方ともお話をさせていただきましたので、こうした点について我々としても問題意識を持って考える必要があるのではないかと思っています。この点はさらに検証を行っていかなければいけないというふうに考えております。  本県の子供を取り巻く環境の特徴という御質問でありますが、これは、地域によって、また学年によっても様々な違いがあるというふうに思いますけれども、一般的に申し上げれば、大都市部と比べて、一つは、やはり豊かな自然の中で伸び伸び育っている子供たちが多いのではないかというふうに思いますし、また、人と人とのつながりが比較的強い地域が多いわけでありますので、そういう意味で、子供たちに対して周りの大人たちが関心を持って接しているケースが大都市部と比べると多いのではないかというふうに思います。  ただ、その反面、先ほど申し上げたように、子供たちの集団が比較的小さな集団なので、人間関係がどうしても固定化しがちといったような側面もあるのではないかと思っています。  「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略を策定するに当たりまして、子供の自殺の背景分析を行いましたが、なかなか他県と比較して有意な原因というものを見いだすことはできなかったわけでありますけれども、今後は、さらに個別の事例に即した分析、検証をしっかり行っていきたいというふうに思います。本県としてのいい部分はしっかり伸ばしながら、課題を直視して、自殺につながるリスクをできるだけ下げていきたいというふうに思っております。  また、未成年者の自殺への私の思いという御質問であります。
     我々大人がつくった環境になかなかなじめないという子供たちもいるわけでありますし、また、子供が自殺に至るまでの過程においては必ず大人が誰か関わっている、子供の近くに寄り添っているはずでありますので、周囲の大人が適切な対応を行うことができれば、どこかで子供たちの自殺を食い止めるチャンスは必ずあるのではないかというふうに私は思っています。そういう意味で、周囲の大人がしっかり役割を果たしていくということが重要だというふうに思っておりますし、我々行政も、子供の自殺の問題について重く受け止めて、全力で向き合っていかなければいけないというふうに思っております。  先般のチーム会議におきましていろいろ意見が出た中で、特に、今、コロナ禍で子供同士のつながりや大人とのつながりが希薄になりかねない中、我々大人は子供たちをしっかり支えるんだよというメッセージを出してはどうかという御提案をいただいたところであります。特に、今、卒業や進学、就職、新学期と子供たちの環境が大きく変わる時期になりますので、この御提案を受けて、独りで悩まずに誰かに相談してほしい、そして、私たち大人は子供たちを見守っている、支えている、こうしたメッセージを届けるために、私も含めてリレーメッセージをつくって動画で配信していきたいというふうに思っています。  こうした様々な取組を通じて、子供たちにしっかりメッセージを伝えると同時に、子供たちの思いを我々大人がしっかりと受け止められるような体制をつくっていきたいというふうに思っております。行政や学校はもとより、子供たちの身近にいる県民の皆様方と一緒になって子供たちの命をしっかり守っていくことができるよう今後とも対策の充実に努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)るる答弁をいただきました。知事からは、高校生の自殺率が高い理由の一つとして、中学校まで地元の少人数クラスで育った子供が多く、環境が大きく変わる高校で悩みを抱え込むからではないかという意見に対して一理ある旨の回答がありました。とすると、今、本県はそれと逆行する大きな問題を抱えているように私は思います。  今、県下では、過疎化、少子化、小学校での教科担任制などに対応するため、小中一貫校の設立が相次いでいます。つまり、6歳から15歳までの9年間を、少人数で、クラス替えもなく、同じクラスメートで過ごすわけです。子供の頃の9年間はとてつもなく長く感じるものです。映画の「二十四の瞳」の頃とは時代が違います。そこには、必ずいじめもあれば、同じ学年でも上下関係ができてきます。  そして、子どもの自殺対策プロジェクトチームの会合でも出された意見ですが、田舎の少人数の学校の頃は成績がトップであった子が、高校に入ってみると全くそうではなく、改めてそのギャップに悩むということもあるということであります。小学校6年間を修了したところで、改めて隣接する地区や市町村の子供たちと中学校に入学し、徐々に世界を広めていくことが重要ではないかという持論を申し上げて、私の一切の質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、西沢正隆議員。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)自由民主党県議団、長野市・上水内郡区選出の西沢正隆でございます。  最初に、新型コロナウイルスについてお聞きします。  県内の新型コロナウイルス感染状況は、令和2年2月25日に初めて陽性者が確認されてから2年がたち、現在は県内初のまん延防止等重点措置が3月6日まで延長され、適用されている状況です。  県内での陽性者は約3万人で、本年1月のオミクロン株による第6波では、1週間での陽性者のピークは第5波ピーク時の約4倍の4,071人で、10代と60代以上の陽性者が増加しました。また、クラスターは、学校・教育施設、児童福祉施設で発生しています。オミクロン株の特徴としては、感染力が強く、死亡率が低いと言われています。  ワクチン接種については、2回目までの接種は、9割を超える接種対象者が終了し、3回目接種が現在実施され、14%が接種済みであり、これからさらに加速していきます。また、5歳から11歳までの子供たちにもワクチン接種が開始されます。  2年間の陽性者の中には後遺症に悩まれている方がいることから、心からお見舞いを申し上げますとともに、2年間にわたり感染防止対策に御尽力いただいた医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様、様々な取組に御協力いただいた県民の皆様に改めて感謝いたします。  令和4年度一般会計当初予算案1兆848億円のうち、アフターコロナ後を見据え、43億円の税収増を見込み、経済活動の回復が予想されています。4月に開催される善光寺御開帳、諏訪御柱祭、さらに2年間中止された長野マラソンの開催が決定するなど、徐々に経済活動が活発化する機運が高まりつつあります。  第5波が収まりつつあった昨年9月項、これからはアクセルとブレーキを同時に踏みながら経済活動を行ってほしいと知事から県民へのメッセージが出されました。残念ながら県民へはなかなか伝わらなく、ブレーキを踏んだままで、経済活動が活発化するまでには至りませんでした。  ステルスオミクロン株のように株が変異し続ける現在、ウィズコロナの時代に経済活動をどのように回復させていくかが今後の大きな課題であります。そこで、新型コロナウイルスの感染拡大の傾向が明らかに下落するなど波が収束した際には、経済活動復活宣言など県として明確なメッセージを出すべきと考えますが、危機管理部長の見解をお聞きします。  クラスターは波ごとで特徴があり、第6波では、学校・教育施設、児童福祉施設で比較的多く発生しました。そこで、コロナ禍の2年間の第1波から6波で、医療機関、高齢者施設、学校・教育施設、児童福祉施設、飲食店等でクラスターが発生してきましたが、それぞれのクラスターの発生状況について健康福祉部長にお聞きします。  緊急事態宣言、まん延防止等重点措置やレベル5になったとき、飲食店への時短要請が繰り返し発出されてきました。飲食店への時短要請に対し県民から効果があるのか疑問の声が多く出ています。そこで、度重なる飲食店への時短要請について、どのように検証し、繰り返し発出されてきたのか、危機管理部長にお聞きします。  国会でも議論されていましたが、歯科医院は口を開けての治療になるので、コロナ禍の初期の頃は治療を控える方が多かったのですが、治療を優先することから歯科医院に通う方が増加したにもかかわらず、結果的に歯科医院からはクラスターが発生した事例はないと聞いています。そこで、歯科医に感染防止対策を学ぶべきことがあると考えますが、御所見を健康福祉部長にお聞きします。  まん延防止等重点措置が適用されたことにより、適用前よりなお一層経営に影響が及ぼされた飲食店をはじめ、そこに納入する業者、観光関連業者等から、県からのさらなる支援策を求める悲痛な叫びが多く寄せられております。  先日、長野県小売酒販組合連合会青年協議会の代表の方から要望を受けました。いわゆる町の酒屋さんでして、家族経営のところが多く、9割が飲食店からの売上げであります。また、地域のお祭りや総会などの会合での飲食を伴う懇親会などがここ2年実施されていないことも大打撃であるということであります。加えて、観光立県の長野県では、観光に依存する酒販小売業者も多いようであります。令和2年度は、額が大きい持続化給付金などがあったことから、厳しいなりにも乗り切ることができたようですが、コロナ禍が2年も長引いたことに加え、まん延防止等重点措置適用でなお一層厳しい状況に陥った事業者が多々あるそうです。  信州の地酒販売促進キャンペーン事業は昨年から実施され、今後も地酒おトクーポンが追加販売される予定で、この事業については、一定の効果はありましたが、家族経営が多い酒販小売業者では、手間などを差し引くと利益はほとんど出ない状況であったようです。  32都道府県では、酒販事業者への独自支援金制度があるとともに、国の月次支援金と県の支援金をセットで支給される県もあるそうです。経営者から経営が厳しいと相談されたときに、国の事業者復活支援金、市町村の事業支援交付金事業を紹介すると、それだけではまだまだ厳しいと訴えられることが多くあります。まん延防止等重点措置が適用された後、中心市街地商店主、水産物卸業、県内旅行代理店、お土産屋等々多くの事業者から、酒販小売業者と同様、県からの支援を求める声が届いています。  以上のことから、県内には、コロナ禍が長引き、まん延防止等重点措置の適用により一層経営状況が厳しくなった事業者が多々あると推察されます。そこで、真に困っている事業者に対する支援策の一層の充実を提案しますが、産業労働部長に御所見をお聞きします。  さらに、1月27日から2月20日の間のまん延防止等重点措置の時短要請に対する協力金申請が2月21日から始まりました。申請が簡素化されたことは評価されていますが、一日も早い振込を期待しています。そこで、協力金の振込開始がいつ頃になるのか、産業労働部長にお聞きします。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)新型コロナウイルスについて私には2点質問をいただきました。  初めに、感染収束に伴う経済活動復活宣言などのメッセージについてであります。  長期に及ぶコロナ禍であってもできる限り経済活動を維持していくことは重要であり、県独自の感染警戒レベルを運用して感染動向を注視するとともに、各種の指標も参考にしながら感染の拡大や収束の傾向を確認し、感染の拡大防止と社会経済活動とのバランスに注力してまいりました。  こうしたことから、感染の波が収束する際には、コロナ禍の克服に向けた取組により、県内の社会経済活動を促進するため、経済団体等の皆様と一緒に社会経済活動の活性化に向けた申合せも行ってきたところであります。  第6波では、本県として初めてとなるまん延防止等重点措置を延長し、感染をしっかりと収束させ、この春に予定されている大規模イベントを安心した環境で迎えられるよう感染対策を継続しているところであります。感染が収束した際には、議員御指摘の経済活動復活宣言のような発信の仕方も県内経済の活性化に寄与するきっかけとなり得るものと考えております。  次に、飲食店への時短要請についてどのように検証し、実施してきたかとの質問であります。  これまで、感染対策は、県内外の感染拡大の状況に加え、株の特性を踏まえて、より効果的となるよう、要請や呼びかけの内容、範囲等について専門家及び有識者の御意見をお聞きした上で実施してまいりました。  このうち、大人数あるいは長時間に及ぶ会食や飲酒を伴う飲食が感染リスクの高い行動であると指摘されていることから、国の基本的対処方針に基づき、飲食店に対する時短要請を実施してまいりました。現在も御協力をいただいております事業者の皆様には改めて感謝を申し上げます。  第5波までの時短要請では、酒類の提供を行う飲食店を対象とした一方、第6波では、全ての飲食店を対象とし、信州の安心なお店認証店においては営業時間や酒類の提供を選択制にするなど一律ではなく、また、対象範囲も市町村別や圏域全体にするなど、その時々の状況に応じたお願いをしてきたところであります。  こうした県の対策については、専門家にもお聞きした上で感染の波ごとに振り返りを行っており、第5波においては、時短要請は感染警戒レベルの引上げや感染対策強化期間の設定と相まって、感染拡大の抑制に寄与した可能性があるとの評価をいただいております。  現在、第6波において実施しております時短要請についてもこの振り返りを行い、効果について改めて検証をしてまいります。  以上であります。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には2点質問を頂戴いたしました。  まず最初に、県内のクラスターの発生状況についてでございます。  令和2年2月から令和4年2月20日までに公表いたしました5名以上の陽性者が発生した集団的感染事例、いわゆるクラスターは、合計で288件でございます。このうち医療機関が18件、高齢者施設が44件、学校・教育施設が95件、児童福祉施設が55件、飲食関連が35件であり、その他が、事業所関連や障害者福祉施設などが含まれますけれども、41件となっております。  次に、歯科医療機関における感染防止対策の取組についてどう考えるかという御質問をいただきました。  歯科医療機関における感染対策につきまして、県では、長野県歯科医師会に歯科医療安全管理体制推進特別事業を委託いたしまして、手洗い、正しいマスクの着用、環境消毒などの基本的な予防策の徹底や、治療時に発生するエアロゾル対策といった院内での感染防止策に関する研修を実施する等の取組を行ってまいりました。  議員御指摘のとおり、これまで、県内において歯科医療機関を起点としたクラスターは確認されておりません。歯科医療従事者の皆様や受診された県民の皆様が基本的な感染防止対策を徹底していただいたことが要因の一つではないかと考えております。県といたしましては、いまだ予断を許さない状況の中、こうした基本的な感染防止対策の大切さを改めて周知してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点御質問をいただきました。  初めに、真に困っている事業者に対する支援策についてでございます。  まん延防止等重点措置の適用により、飲食業や宿泊業はもとより、関連事業者の皆様を中心に深刻な影響が生じているものと認識しております。このため、県では、資金繰り支援を拡充するとともに、国の事業復活支援金、雇用調整助成金等の支援策が円滑に届くよう、各地域振興局の産業・雇用総合サポートセンターにおいて事業者の皆様からの御相談や申請手続の支援を行っているところです。  また、協力金の対象外となる皆様にも地域の実情に応じた支援が行われるよう、約41億円の第6波対応事業者支援交付金を市町村に交付し、給付金の支給や需要喚起策を実施していく予定です。  さらに、需要喚起策として、飲食店を対象とした事業規模で32.8億円の信州プレミアム食事券(第2期)を3月1日から、また、酒販店を対象とした事業規模で約3.2億円の信州の地酒おトクーポン(第2期)を2月26日から販売するとともに、観光関連では信州割SPECIALや冬のアクティビティ割を2月23日から拡充したところでございます。  現在、国においては、雇用調整助成金の特例措置を5月末まで延長する方向で調整されているとお聞きしておりますが、こうした国の支援策の状況も踏まえつつ、産業界や市町村と連携して県内経済の回復に努めてまいります。  次に、協力金の振込の時期についてでございます。  このたびのまん延防止等重点措置に伴う県の要請に応じて営業時間の短縮または休業に御協力いただいた事業者の皆様には、深く感謝を申し上げます。  議員からも御指摘いただきましたが、御協力いただいた事業者の皆様には一日も早く協力金をお届けしたいと考え、既に申請書類の簡素化、電子申請の導入等を行うなど対応を行っております。また、重点措置の期間が延長されましたが、当初の要請期間分で一旦区切り、2月21日から協力金の申請の受付を始めているところです。  審査には、支払いの間違いや不正な受給を防ぐため必要最小限の時間を要しますけれども、予定では募集開始の1週間後に当たる2月28日から支給を始めてまいります。今後とも、できるだけ早く事業者の皆様のお手元に届くよう努めてまいります。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)それぞれ答弁をいただきましたけれども、多分、県会議員の皆さんは、真に困っている事業所の皆さんから様々な御意見を聞いているかと思います。  先日、先ほど御紹介した小売酒販組合の皆さん、いわゆる町の酒屋さんでございますけれども、本当に何とかしてほしいと林産業労働部長と会ってしっかり議論をしたということも聞いておりますが、この皆さんが訴えていたのは独自支援策であります。長野県もクーポンによって支援策をやっているという話でございますけれども、先ほどもお話ししたように、それが支援になっていないということを訴えておられました。  他県では、32都道府県で酒販の皆さんへの独自の協力金を支給しているということでございます。知事は、県民の皆さんの命と健康を守り抜くと明言いたしました。この事業を続けていかなければやはり命を守れないと思います。県は、長野県としても他県の状況をよく見ると言います。しっかり研究していただき、新たな支援策もしっかり検討していただくことを強く要望させていただきます。  次に、長野県立大学についてお聞きします。  長野県立短期大学の4年制化については、平成18年12月定例会の一般質問で取り上げて以後、10回にわたりこの壇上でその必要性を主張し、選挙公約に掲げて活動に取り組んできました。その活動が実り、平成30年の長野県立大学開校は感慨深いものがありました。  長野県立大学は、グローバルマネジメント学部グローバルマネジメント学科、健康発達学部食健康学科、健康発達学部こども学科から成り、ソーシャル・イノベーション創出センターを通じて産学官や地域との連携、公開講座の開催など、地域社会への貢献を実践してきました。具体的には、学生が地域のお祭りに参加、地元商店街とのコラボ、校内でPTA研修会の実施、さらには県議会議員と学生との意見交換会など、積極的に地域との連携が図られてきました。  早いもので開校から4年がたち、1期生が最終学年の年となりました。県立大学の特徴として、1年次は全ての学生が入寮し、2年次には海外留学がありましたが、ここ2年はコロナ禍により思いどおりの学生生活が送れていないと聞きます。そこで、コロナ禍による学生への影響について県民文化部長にお聞きします。  長野県立大学の設置時の目的の一つに、若者の県外流出を防ぐことがありました。第1期生の進路が決定している時期であります。そこで、就職内定状況と就職内定者の中で県内に就職する割合はどのくらいか、各学科別の状況も含めて県民文化部長にお聞きします  さらに、食健康学科から今後も毎年多くの管理栄養士が卒業していきます。長野県栄養士会から児童福祉や健康増進のセクションに正規職員の設置と増員の要望が毎年寄せられています。健康長寿県として、今後は健康と食をさらに重要視していく上で、管理栄養士の役割は必要不可欠であります。そこで、今後は県立大学と松本大学により管理栄養士が今までより多く輩出されることを踏まえ、管理栄養士の正規職員採用を増員するよう要望しますが、健康福祉部長の御所見をお聞きします。  来年度より大学院が開校いたしますが、入学者を含め、その準備状況について県民文化部長にお聞きします。  開校から4年、県短期大学4年制化には紆余曲折がありましたが、最終的に知事が決断して開校に至りましたので、知事として思い入れがある県立大学であると思います。そこで、第1期生の卒業生を迎えるに当たり、地域貢献する県立大学としてこの4年間の取組をどう捉えているのか、知事にお聞きします。  生徒急減期における私立高校の募集定員についてお聞きします。  公立高校と私立高校の定員数については、生徒急増期を迎えようとしている昭和50年頃に長野県公私立高等学校連絡協議会が設置されて、それぞれの募集定員を公立、私立が共に協議して決定してきました。その結果、昭和61年度から平成12年度までは、公立が82%から85%、私立が15%から18%で推移し、ここ数年は80対20程度の割合で募集定員が決定してきました。  私学教育協会との意見交換会で、ここ数年、生徒急減期を踏まえ、私立学校の持続的な学校経営を保障するため、中長期的に私立高校が一定規模を維持できるよう一層の配慮をするよう要望され続けています。  以上を踏まえ、公立高校において第2期高校再編が実施される中、生徒急減期に見合った募集定員決定をしていく必要があると考えます。そこで、生徒急減期における私立高校の募集定員の考え方について県民文化部長にお聞きします。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)私には、県立大学に関して3点、私立高校に関して1点御質問をいただきました。  まず、県立大学におけるコロナ禍による学生への影響についてのお尋ねでございます。  県立大学では、コロナ禍においても、教育の質の維持向上と安心な学習環境の確保に向けて教職員一丸となって感染状況に応じた対策を講じてきております。  まず、学生寮につきましては、感染対策の観点から2人部屋を1人利用としておりまして、入寮できなかった学生にはアパート入居費用の一部を補助したところでございます。こうした入寮できなかった学生に向けて、全ての1年生が参加できるオンラインによる交流会を開催したほか、企業経営者と語り合う教育プログラムを大学構内で実施したところでございます。  また、海外プログラムにつきましては、全学科ともオンラインによる実施となりましたが、予定していた視察先の企業やホームステイ先の家族のライブ映像を取り入れるなど研修効果が高まるよう工夫したことによりまして、おおむね4分の3の学生が満足であったと評価しております。コロナ禍の影響が長引く中においても、引き続き県立大学の特徴ある教育を生かして、学生が充実した大学生活を送れるよう大学と共に取り組んでまいります。  次に、県立大学1期生の就職内定状況と県内就職割合についてのお尋ねでございます。  県立大学では、キャリアセンターにおいて学生一人一人にきめ細かな就職支援を行ってまいりました。その結果、今月15日時点で、就職を希望する211人全員の就職先が内定しております。  内定先の業種を見ますと、グローバルマネジメント学科の学生は、経営学を幅広い視点で学んできていることから、情報通信、製造業、金融・保険業、公務員をはじめ多岐にわたる業種となっております。一方、食健康学科とこども学科では、ほとんどの学生が専門資格を生かした業種に内定しております。  また、県内への就職内定者数は117人で、その割合は55%となっております。学科別では、グローバルマネジメント学科が55%、食健康学科が50%、こども学科が63%という状況でございます。  次に、大学院の開設に向けた準備状況についてのお尋ねでございます。  4月に開設いたします二つの研究科のうち、ソーシャル・イノベーション研究科は、地域課題の解決や持続可能な社会づくりに貢献できる人材を育成する専門職大学院であります。10人の定員に対しまして27名の志願があり、選考の結果、企業の経営者や会社員、行政職員など16名が合格しております。一方、健康栄養科学研究科は、科学的根拠に基づく長野県の健康長寿を牽引できる人材の育成を目指すものでありまして、5人の入学定員に対して6名が合格しております。  大学院の教員体制につきましては、民間企業における実務経験が豊富な教員や科学的根拠に基づく教育を進めるためのデータサイエンス分野の教員など、両研究科で6人を新たに採用いたします。  この4月に入学される高い志を持った多様な経歴の方々に対しまして高度な専門科目や実践的な演習など充実したカリキュラムを提供できるよう、開設に向けた準備を着実に進めてまいります。  最後に、人口急減期における私立高校の募集定員についてのお尋ねでございます。  急激な人口減少が続く中で、公立高校、私立高校ともに将来的な生徒数の減少に適合した教育体制を整備することが求められております。  しかしながら、私立高校は、公立高校とは異なり、学校同士の統合が困難であることから、生徒数が減り続けますと、各学校の開設科目や部活動が制約されるなど、教育環境が悪化するだけでなく、学校経営そのものにも影響を与えかねないところでございます。このため、今年度開催されました公立、私立が募集定員を話し合う協議会におきまして、私立学校の持続的な経営を保障するため、中長期的に私立高校が一定規模を維持できるよう配慮することが確認されたところでございます。  私立高校は、特色ある学科やコース、また、全国レベルの部活動など、個性豊かな教育活動を展開しております。人口減少期にあっても将来の高校生にとって魅力ある選択肢となり得るよう、今後とも公立、私立間の協議を丁寧に進めてまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には県の管理栄養士の正規職員としての採用を増やしてはどうかという御質問をいただきました。  現在、管理栄養士は、本庁のほか、現地機関では保健福祉事務所と特別支援学校などに配置されております。令和元年度以降、保健福祉事務所の健康づくり担当課などへの配置を増員しておりまして、正規職員の増加を図っているところでございます。  これまでも、管理栄養士は本県の健康長寿に重要な役割を担っており、今後も、県民の健康づくりを進めていくために、管理栄養士への期待は大きいというふうに認識しております。今後、人口が減少していく中でございますので、県の職員数を大幅に増やしていくことはなかなか難しい面がございますけれども、管理栄養士が県の機関においてその役割を十分に果たしていけるよう適正な配置に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
          〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には長野県立大学の4年間の取組をどう捉えているかという御質問をいただきました。  リーダー輩出、地域イノベーション、グローバル発信、この三つの理念を掲げて4年前に開学して、今春初めて卒業生を社会に送り出せるという形になります。様々な議論を経て大学の構想を固めて、そして、開設以降も多くの皆さんの御支援の中で発展させてくることができました。県議会の皆様はじめこの県立大学構想に携わっていただいた全ての皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。  開学から4年間、安藤理事長、そして金田一学長のリーダーシップの下、教職員一丸となって、社会性や人間力を高めるための1年次の全寮制、グローバルな視野を養う海外プログラムや英語の集中教育、学生の個性や資質に合った少人数教育、そして実践力を磨く豊富な臨地実習等を進めてきたところであります。御質問にありましたように、コロナの影響で海外プログラムや1年次の全寮制に変更を余儀なくされた部分もございますけれども、特色ある教育を学生一人一人に合わせて親身に行っていただくことができたというふうに考えています。  学外における活動においても、複数の学生が起業していますし、また、御質問にもあったように、地域のお祭り、子育て支援等ボランティア活動に参加してくれた学生もいます。こうした中で、学生自身も主体性や社会性を高めることができたというふうに思っております。  また、ソーシャル・イノベーション創出センターを地域との連携拠点として設置いたしましたが、信州ソーシャル・イノベーション塾やCSI公開講座、また、地域コーディネーターの配置による創業・課題解決の支援、自治体、企業等の包括連携協定の締結、また、企業向けのSDGs研修など多彩な取組を行っていただく中で地域社会や産業界と県立大学とのつながりも強化されてきているというふうに考えています。  こうした取組の成果を生かしながら、大学においてはきめ細かな就職支援を行っていただき、就職を希望する卒業生全員が内定を得られたということで、大変うれしく思っているところでございます。  県立大学から巣立っていく学生には、この4年間で培った学びを基に、ぜひそれぞれの分野のリーダーとして活躍していただくことを強く期待しております。また、県立大学は、4月には新たに大学院を開設するわけでありますので、さらに本県の知の拠点として、県の施策や地域との連携をこれまで以上に深めていただくとともに、設立当初の理念の下、さらに発展していってほしいというふうに切に願っているところでございます。引き続き県としても県立大学の発展のために全力を傾けていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)ただいま答弁をいただきました。  コロナ禍で、県立大学で計画していたカリキュラム等ができなかったというのは残念でありましたが、私は、県外流出を防ぐためであるということを強く主張して県立大学を推進したわけでございますが、今回の就職率について、県内就職が55%、45%は県外であると。たしか1期生の入学者は、県内が6割、県外が4割ということを記憶しております。もちろん、県外の人が県内に就職したり、県内の卒業生が県外へ行ってしまったりということもあると思います。今後、2期生以降に検証していくと思うのですが、職業選択の自由もあるかと思うのですけれども、できる限り長野県の将来を担う人材を県立大学で育てていただき、多くの皆さんがぜひ県内へ就職するように努めていただくことを強く要望したいと思います。  そして、私立と公立のいわゆる公私の定数の関係でございますが、今、県立高校は、高校再編を踏まえて、様々な形で議論しています。私立高校は、存続か閉校か、その選択肢しかありません。県内私立高校についてよく議論して定員を決定していただくように強く望むところでございますが、他県では様々な形で公私について議論しています。今の私立高校が存続できるように今後もしっかり議論をしていただきたいと思います。  次に、県職員の採用計画についてお聞きします。  県職員5,930人の年齢構成は、10歳代2人、20歳代878人、30歳代1,111人、40歳代976人、50歳代2,362人、60歳以上601人と、5年前に比べると、20・30歳代が370人増加しましたが、まだまだ年齢構成が40・50歳代に偏っています。令和元年度から3年度の3年間で社会人経験者を120人採用し、そのうち30・40歳代が88%であります。  また、令和元年度から3年度の3年間の早期退職者は222人となっています。今後10年、毎年多くの退職者が出ます。コロナ対策、災害・防災対策と人手が足りない部局も多々あると聞いています。また、人口減少時代、職員をこのまま減らしながら定年延長や再任用で補っていくことも考えられます。  そこで、多くの退職が出る今後10年間の職員採用計画について総務部長にお聞きします。  令和元年度から3年度の早期退職者が222人と述べましたが、そのうち20・30歳代が90人と職員の年齢構成の偏りを加速化する原因にもなっています。  平成29年6月定例会で若手職員の早期退職について質問いたしました。当時、平成26年度から28年度の20・30歳代の早期退職者は49人でありました。現在は90人と、残念ながら大幅に増えてしまっているのが現状です。  若手の早期退職者を出さない対策として、職員が上司や同僚に悩みの相談や提案をしやすくするための窓口設置、超過勤務の縮減を図る時短プロジェクトや笑顔プロジェクトを推進し、風通しのよい職場環境づくりに管理職が率先して取り組んでいるとの総務部長からの答弁でありました。このような様々な取組を実施したにもかかわらず若手職員の退職が増えてしまっていることは、看過できない課題であります。  これだけ職員の年齢構成に偏りがある現在、若手職員の早期退職についてしっかり検証し、若手職員の育成に生かしていくことが重要と考えます。そこで、若手職員の早期退職者増加の原因をどのように検証し、今後に生かしていくのか、知事にお聞きします。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)今後10年間の職員採用についての御質問でございます。  県職員の採用につきましては、時々変化する行政ニーズに的確に対応すべく、毎年採用数を決定しておりまして、かつ、大きな方向性として、現行の行政経営方針の考え方を基本に採用を行っております。具体的には、人口減少時代における職員体制や本県の課題でございます職員の年齢構成の遍在を考慮しつつ、採用数を決定しているところでございます。  人口減少時代における採用の在り方としましては、人口規模等に応じた正規職員の確保を基本としつつ、昨今では、新型コロナ対策や児童虐待防止対策など喫緊の課題に対応すべく、保健師や福祉職など技術系専門職種を積極的に確保するなど、その時々の行政ニーズに応じた採用を行っております。  また、年齢構成の遍在の観点では、退職者の増減に合わせて採用数を変動させるのではなく、毎年できるだけ一定数の採用を維持し、年齢構成の平準化を目指しているところでございます。  今後、時代の変化に柔軟に対応し、かつ、持続的な組織体制の構築を見据えた採用を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)若手職員の早期退職者増加の原因をどう検証し今後に生かすのかという御質問であります。  御質問にありましたように、本県の20代、30代の若手職員の退職者数はこのところ増加傾向にございます。平成30年度の採用者のうち採用後3年以内の離職率は5.9%という状況になっております。これは、全国の民間企業の離職率、あるいは近隣県の状況と比べると、必ずしも突出して多いというわけではありませんが、御指摘のように、ここの要因はしっかり把握することが必要だというふうに思います。特に、県の組織や仕事に対して大きな不満があるということを要因として離職するような場合については、我々としてもその要因への対処をしっかり考えていくことが今後離職率を下げていく上で非常に重要だというふうに思っております。  これまで、踏み込んだ退職理由については調べてきておりませんけれども、今後は、県として課題にしっかり向き合うという観点でも、できるだけ詳細に把握した上で、具体的な対策、対応につなげていきたいというふうに思っております。  また、新規採用研修時のアンケートや、若手職員と私を含めた幹部職員との意見交換の場を設けるなどして、若手職員の早期退職の要因となり得るような不安や不満の把握にしっかりと努め、具体的な解消のための努力をしていくことを通じ、職員がやりがいを持って仕事に邁進できる環境づくりに努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔49番西沢正隆君登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)将来の長野県にとって若手職員は非常に重要でございますので、しっかりと議論をして辞めさせないような対策をしていただければと思います。  収束しない感染症はありません。今年こそは新型コロナウイルス収束元年として経済活動が回復されていくことを願い、質問を終了いたします。 ○議長(宮本衡司 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明25日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時59分延会...